大規模開発が周辺の不動産相場を押し上げる事は一般的によく知られているが、「何某エリア初のタワーマンション建設」のような、ランドマーク的マンション建設は周辺相場を押し上げるのか。今回は「ランドマーク的マンション建設」と「周辺マンション価格」の比較から検証を行った。

今回は、近年ランドマーク的マンションとして話題になった東京都品川区の「パークシティ武蔵小山ザタワー」、横浜市中区の「ザタワー横浜北仲」の中古マンション周辺相場(そのマンションの最寄駅周辺)の価格と、そのマンションが所在する市区町村の中古マンション相場の価格の差異を比較する事で、押しあげの効果があるかを検証する。

 

【結論】

まず本検証の結果としては、必ずしも押しあげる効果があるとは言えないという結論となった。

※詳しくはこちらのコラムより:https://magazine.t23m-navi.jp/news/landmark-souba-eikyou/

 


《事例1》2019年竣工「パークシティ武蔵小山ザタワー」

 

【パークシティ武蔵小山ザタワー物件概要】
住所:東京都品川区小山3丁目
最寄り駅:東急目黒線「武蔵小山」駅徒歩1分
築年月:2019年9月
階建:41階地下2階建
総戸数:628戸
施工会社:鹿島建設(㈱)
分譲会社:三井不動産レジデンシャル㈱、旭化成不動産レジデンス㈱

武蔵小山駅徒歩1分という好立地に建つ、地上41階建て、総戸数628戸の「パークシティ武蔵小山ザタワー」。2019年竣工のこのマンションは、まさに武蔵小山の「ランドマーク」的なタワーマンションとなった。

 

【検証結果】
本エリアにおいては、パークシティ武蔵小山ザタワーの竣工が周辺相場上昇に影響を与えたと想定される。

 
【検証内容】
以下に示す本件最寄駅「武蔵小山駅」周辺の平均成約坪単価と本件所在市区町村「品川区」の平均成約坪単価の差異は、本件竣工前後で比較すると、竣工以降の方が大きく上振れている。特に2000年築以前の物件は顕著である。

 

グラフ1.事例1【平均成約坪単価】旧耐震(1981築)

 

 

グラフ2.事例1【平均成約坪単価】新耐震(1982築)~2000年築

 

 

グラフ3.事例1【平均成約坪単価】2001年築~2014年築

 

グラフ4.事例1【平均成約坪単価】2015年築以降

 

 このことは築古にかかわらず購買需要が高まった事を示唆しており、本エリアの需要が高まった事が非常に高い。従って、パークシティ武蔵小山ザタワーの竣工のタイミングとエリアの需要のタイミングが一致している為、周辺相場上昇に影響を与えたと想定できるだろう。


 
《事例2》2020年竣工「ザタワー横浜北仲」

 

【ザタワー横浜北仲物件概要】
住所:神奈川県横浜市北仲通5丁目
最寄駅:みなとみらい線「馬車道」駅徒歩1分
築年月:2020年2月
階建:58階地下1階建
総戸数:1,174戸
施工会社:鹿島建設(㈱)
分譲会社:三井不動産レジデンシャル㈱、丸紅(㈱)

馬車道駅直結というこの上ない立地に、2020年、地上58階建て、全1,174戸というビッグコミュニティの超高層マンションが誕生した。住宅のみならず商業施設やホテルなども入っており、馬車道のみならず横浜ベイエリアの新たなランドマークとして注目されている。

 

【検証結果】
本エリアにおいては、ザタワー横浜北仲の竣工が周辺相場を押し上げる要素は見られなかった。

 

【検証内容】
以下に示す本件最寄駅「馬車道駅」周辺の平均成約坪単価と本件所在市区町村「横浜市中区」の平均成約坪単価の差異は、本件竣工前後で比較すると、竣工以前の方が大きく上振れており、竣工以降はほぼ変化がなく差異自体も小さくなっている。
(※1981年築以前のサンプルデータは取得出来ず)

 

グラフ1.事例2【平均成約坪単価】新耐震(1982築)~2000年築

 

グラフ2.事例2【平均成約坪単価】2001年築~2014年築


 

グラフ3.事例2【平均成約坪単価】2015年築以降


 

 従って、本事例ではザタワー横浜北仲が周辺相場を押しあげる要素は見られなかった。

 

 【検証最終結果】

事例1、事例2より必ずしも押しあげる効果があるとは言えないという結論となった。

 

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https://t23m-navi.jp/

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参考URL:PRtimes