ほぼ半数の人が相続・贈与で空き家を取得。一方で「相続登記義務化」を知らない人が76.8%
上グラフの通り、国土交通省による空き家調査・カチタスによる空き家調査の双方で、「空き家の取得方法」のほぼ半数は「相続・贈与」によるものであることがわかる。
またカチタスの調査によると、空き家の78.1%は戸建てであることもわかった。
一方で2021年4月21日に不動産登記法の改正法により制定された、相続により物件(空き家)の所有権を取得した際に3年以内に所有権移転登記を行う義務について、「知らない」と回答した人が76.8%に上った。
義務化にあたって自身が所有する空き家の対策検討状況を聞いたところ、「売却をする」と回答した人が25.5%にとどまったのに対し、「まだわからない」と回答した人が44.8%と高い数値となった。
空き家に関する相続登記や対策法について周知されていないというのが現状のようだ。
空き家相続について家族・親族と対話されていないのが現状。売却の選択肢も知られていない
同調査の結果、空き家相続について家族・親族と対話したことがある人は33.3%に留まった。空き家の処分についての検討を回避しようとする人も多いのが現状なのかもしれない。
また空き家の売却を希望する人が検討している売却先を聞くと、45.1%が「不動産仲介会社」と回答し、「買取再販会社」「空き家バンク」「空き家販売マッチングサイト」などを選ぶ人は少ないことがわかった。これらの選択肢の認知度が低いことが懸念されている。
不動産仲介会社への売却は、買取再販会社より高額で売却できる可能性があるというメリットがある一方で、買取再販会社で売却すると以下のようなメリットがあげられる。
・すぐに現金化できる
・購入希望者による内覧が行われない
・基本的に売却後の売主責任が発生しない
・仲介手数料がかからない
空き家をすぐに処分したい人、責任を負ったり複雑な手数料を考慮したりしたくない人にとっては、買取再販会社も良い選択肢になるかもしれない。
コロナ禍で空き家に対する意識も変化?売却を検討する人もいる一方で、移住・二拠点居住も検討している人も
コロナ禍における空き家所有者の意識・動向を調査したところ、22.7%が売却を検討していると回答した。その一方で、特に首都圏で新型コロナウイルスの感染が拡大し、リモートワークに伴って郊外に移住・二拠点居住を意識する人が増える中、空き家をその拠点として活用しようとする人も多くいるようだ。
上グラフの通り、「コロナ禍で初めて移住を意識することが増えている」と答えた人が7.9%、「コロナ禍で初めて二拠点での居住を意識することが増えている」と答えた人が11.3%と、コロナ禍がきっかけで空き家を自身で活用することを考え始めた人がいることがわかる。
同調査の結果から、売却方法やコロナ禍における自身の利用を含め、空き家の活用・処分方法が多岐にわたっていることがわかる。一方で登記や売却方法についての情報が周知されていないのも事実のようだ。今後も深刻化が心配されている空き家問題の解決に向け、正しい情報の伝達や信頼できるサービス提供が不動産業界に求められている。
■調査概要
・調査対象:日本全国の空き家所有者
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2021年7月28〜7月29日
・調査人数:963人
参照:PRtimes