株式会社給与アップ研究所は直近の1年間で初めて転職した20代会社員を対象に、経営理念と評価制度の一貫性について調査した。一貫性のなさが転職の理由となった人も多く、方針と報酬体系の非連動性が、社員のストレスにつながっていることがわかった。結果の詳細は以下の通りである。
 

48.2%の人が前職の経営理念と人事評価の一貫性がなかったと回答


転職前の企業で経営理念と評価制度の一貫性を質問すると、「全く一貫していなかった」と回答した人が13.9%、「あまり一貫していなかった」と回答した人が34.3%に上った。

一貫性のなさを実感した経験を聞くと、「会社の方針と報酬体系が連動していなかった」(44.2%)、「上司によって指示や方針が違った」(44.2%)、「理念が現場に浸透していなかった」(42.3%)と回答した人が多かった。

上司との会話や日々の業務が経営理念につながっていないと感じると、人事評価制度との一貫性に疑問を持つ人が多いようだ。具体的な例として、「本社と現場でやり方が全然ちがう」「人により対応が違う」「暗黙の了解によって決められた事柄が多く、それらが従業員に共有されていなかった」などというものがあげられた。

一方で転職前の企業で経営理念と評価制度の一貫性があったと回答した人は、一貫性を感じた理由として「経営理念を表す具体的な行動指針があった」(37.5%)「前言撤回や指示のひっくり返しがなかった」(32.5%)「上司と、その上のさらに上司の指示や指摘が同一だった」(26.2%)という理由が多くあげられた。

経営理念の浸透と指導する側への徹底が大事になってくるようだ。

また経営理念と評価制度の一貫性は「モチベーション高く働く上で重要か」という質問に対し、「非常にそう思う」が45.3%、「少しそう思う」が38.0%と回答したことから、社員の意欲向上と離職率低下のためにも一貫性を保つことが大切であることがわかる。
 

86.5%が「一貫性の無さ」は転職した理由に影響すると回答。「ストレスが溜まる」などの声が多々


転職前の企業で経営理念と人事評価制度の一貫性がないと回答した人に、一貫性の無さが転職した理由に影響しているかを聞くと、「非常に影響している」と回答した人が30.7%、「少し影響している」と回答した人が55.8%に上った。

一貫性の無さに自身が受けた影響については、「ストレスがたまった」(63.5%)、「会社に誇りを持てなくなった(38.5%)、「エンゲージメントが下がった」(28.8%)、「主体性が下がった」(26.9%)などが多くあげられた。

その結果として他部門との仕事の効率の低下やサポートシステムの欠如、何より社員の「辞めたい」という考えにつながってしまうようだ。

また当調査は最後に「経営理念と人事評価制度が一貫している会社に対して魅力を感じますか。」という質問をした。47.2%が「非常に魅力を感じる」、39.8%が「少し魅力を感じる」という回答となった。採用を進めていく上でも、経営理念と人事評価制度に連動性があり、社員が正当な評価を受けて成長できる環境を整えることが大事になってくるようだ。

■調査概要:経営理念と人事評価制度の一貫性に関する実態調査
・調査対象:直近1年で初めて転職を行った20代会社員
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2021年7月8日
・有効回答:108名

参照:PRtimes