日本労働調査組合は、全国の20~49歳で営業職の男女543名を対象に「営業職の勤務意識に関するアンケート」を実施した。結果として最近退職を検討したと回答した人は全体が69.6%、20代が79.9%、30代が71.8%、40代が56.8%だった。

不動産業界の中途採用でも求人の多い営業職だが、営業職経験者はどのようなメリット・デメリットを感じ退職を検討するのだろうか?また会社側に求められているものとはなんだろうか?調査の結果詳細は以下の通りである。
 

退職検討者の半数以上はコロナ禍が原因


「最近退職を検討したことがありますか?」という質問に対し、営業職の回答者の69.6%は「ある」と回答した。そのうち「ある:コロナウイルスの影響」と回答した人が全体の42.7%、「ある:コロナウイルスの影響とは別の理由」と回答した人が全体の26.9%となった。

若年層の間で、コロナ禍が原因で営業職の将来が不安だと感じる人が多いのがこの結果の要因のようだ。

また退職を検討した人の割合は女性の方が多く、男性の64.4%に対し女性は74.8%の人が最近退職を検討したことがあると回答した。


具体的に営業職として働き続ける場合の懸念や不安について聞くと、1位が「給与が安い」(33.5%)、2位が「将来が不安」(31.7%)、3位が「モチベーション維持」(30.9%)となった。

2021年5月に実施された前回の調査結果と比べると、「給料が安い」と「モチベーション維持」はそれぞれ1位と3位で変わらず、一方で前回2位だった「長時間労働」は今回の調査では7位、前回5位だった「将来が不安」が2位となった。

コロナによる営業時間短縮などの影響か長時間労働は少なくなり、その反面で将来性に不安を感じている人が増えている様子が伺える。

またその他に、「リモートワークがしたい」「自分のスケジュールで動かないことも多いため、プライベートは後回しになる」などの回答があった。


一方で仮に退職するとした場合の懸念や不安も聞かれた。一番多く回答された懸念や不安は「転職先が見つかるか」(21.3%)で、2位と3位がそれぞれ「給与不安」(11.0%)、「金銭不安」(10.7%)となった。

他には「転職しても営業になりそう」「後悔しないかどうか」などの懸念も上がった。

同時に「なし」と回答した人が非常に多く、41.5%に上った。
 

営業職のメリット1位は達成感、デメリット1位はストレス


同回答者に、営業職として働くメリットとデメリットについても聞いた。メリットとしてあげられたのは、1位が「達成感」(26.3%)、2位が「相手に喜んでもらえる」(26.0%)、3位が「いろいろな人と仕事が出来る」(23.4%)と言う結果となった。その次に「自由な時間が多い」「やりがい」「コミュニケーション能力の向上」「インセンティブ」などが続いた。


一方でデメリットとしてあげられたのは、1位が「ストレス」(29.7%)、2位が「疲れる」(28.0%)、3位が「クレーム対応」(27.4%)となった。その次に「お客様の理不尽さ」「ノルマ」「上司や会社のプレッシャー」などが続いた。

メリットの裏返しとして捉えられるものが多く、ハードルの高い目標を達成することでやりがいや達成感を得られる一方で、それがストレスやプレッシャーに感じることも多いようだ。

また2021年5月の調査と比較すると、前回1位だった「ノルマ」は今回の調査では5位に転落しており、コロナ禍の影響かノルマよりもストレスや疲労が上位になった。
ストレスや疲労は営業職に限らずほとんどの職種で見られるため、コロナウイルスの影響で営業職の業務が平準化されているとも考えられるのかもしれない。
 

コロナ禍と営業職。今後の変化は?

この調査では最近退職を検討した営業職の多くが、コロナ禍を退職検討理由としていることがわかった。
自身の会社だけでなく営業先や得意先の売上減、営業機会の減少など考えられる影響がさまざまある中、がむしゃらに仕事に邁進する営業スタイルから、新しい仕事のスタイルへ移り変わっている現状もあるようだ。特にリモートワークが推奨され営業の形が変化する中で、若者を中心に将来への不安や働き方の再考が広まっているようだ。

今後は会社が具体性のある将来設計や価値を提供すること、安定した給与と雇用を提供することが求められているようだ。

■調査概要
・調査対象:20~49歳の営業職543名
・調査地域:全国
・調査期間:2021年9月17日~2021年9日24日
・調査方法:インターネット調査

参照:PRtimes