国家資格である宅地建物取引士(通称宅建)。
不動産業界での転職を検討していて、不動産の求人を見たことがある方は、
【必須条件】宅地建物取引士
という欄を一度は見たことがあるのではないでしょうか。
みなさんもご存知の通り、必須条件とは応募するにあたっての最低条件になってくるのですが、ではなぜ求人欄に宅建必須の求人があるのか、みなさんは考えたことがありますでしょうか?
今回は、なぜ求人の必須条件欄に宅建と記載する企業があるのか、という疑問に対して、なぜ宅建を持っている人が不動産業界での転職が有利になるのか、という観点からご紹介致します。
1.宅建(宅地建物取引士)とは?
宅建(宅地建物取引士)という名前は聞いたことがあるけれど、そもそも宅建とは何なのでしょうか?宅建というのは、簡単にまとめると、「私は不動産の専門家ですよ」ということを表す国家資格です。
不動産は決して安い買い物ではなく、何度も購入するものでもないため、お客様は分からないことが多いでしょう。また、現在はネットが普及しているとはいえ、不動産取引に関する専門知識については調べても難しい内容ばかりです。そこで不安になっているお客様に不動産を販売する際、お客様が知っておくべき重要事項を説明することができる唯一が宅建士です。(宅建士=宅建保有者)※重要事項説明をすることができるのは宅建士だけと法律で定められております。
宅建試験の受験者数は2018年度の265,444人に比べ、2019年度は276,019人と約1万人増加しております。(参照:資格の学校TAC)
また、2019年度現在、宅地建物取引士の登録者数は107万人で昨年に比べ+26,115人。証交付者数は52万人で昨年に比べ+9,983人と増加傾向にあります。
(参照:不動産適正取引推進機構 宅地建物取引士の概要)
受験者数、登録者数ともに増加傾向にあることから、やはり宅建を持つことで就職、転職が有利になると考えている方が多いのではないでしょうか?
※登録者数:試験合格後に登録申請を行った人の数
※証交付者数:登録完了後、取引士証交付申請を行った人の数
2.なぜ宅建士が転職で有利なのか
宅建については知っているが、宅建を持っているからといってなぜ転職で有利になるかが分からない…。という方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここからは、なぜ宅建士が転職で有利なのか、3つの理由に分けてご紹介致します。
2-1.法律により宅建士が必ず企業に必要
宅地建物取引業法(以下、宅建業法)において、不動産業を営む時は、ひとつの事務所において「業務に従事する者」の5人につき1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士の設置が義務付けられています。
例えば、ある不動産会社に30人の従業員が働いていた場合、その不動産会社には6名の宅建士が居なければいけないことになります。仮に既に6名の宅建士が居たとして、その不動産会社が規模を拡大するために3人採用するとなった場合、そのうち1人は宅建保有者の採用をすることになります。
あなたが今転職を考えている不動産会社が例に挙げたような状況だった場合、その不動産会社がより取りたい人材は宅建士になります。このような背景から、宅建士は転職に有利になるのです。
余談ですが、宅建士(宅地建物取引士)は多いところで3万円の資格手当がつく企業もあります。資格手当がつくところを見ても、企業がお給料を上げてでも、宅建士を採用したいということが分かるでしょう。
2-2.不動産知識が豊富な人として面接される
宅建士(宅地建物取引士)の合格率は平均して15.7%のかなり難関な国家資格です。(過去5年間の平均)この国家資格の試験内容は宅建業法施行規則第 7条、第 8条より下記の通り定められています。
一 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
二 土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
三 土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
四 宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
五 宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
六 宅地及び建物の価格の評定に関すること。
七 宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
宅建を取得しているということは、上記内容を理解し、お客様に説明ができる知識がある、ということになるのです。そのため、不動産業界への転職の際には「宅建を取得している = 不動産知識が豊富」と見られ転職が有利になるのです。
お客様が分からない、宅地や建物の取引においての専門的な質問に対してお答えし、お客様と円滑な契約ができるようにするために知識が必要となります。その知識があるのかどうか、面接の中だけでは完璧に知ることは難しいですが、宅建を持っているということで、その知識があると示していることになるのです。
2-3.販売から契約までの全てを一人で完了させられる
宅建を持っていなくとも不動産業界で活躍をしている人は沢山います。宅建を持っていなくとも店長や部長という役職で働いている人も少なくありません。
ではなぜ宅建を持っていることが大切なのでしょうか。それは宅建を持っていないと販売から契約までを一貫して一人で完了させることができないからです。
ではなぜ宅建を持っていないと販売から契約まで一貫して一人で行うことができないのか。それは先程も記載した通り、法律により、不動産売買においての契約の際に必要な「重要事項説明」を行えるのは宅建士のみとされているからです。
あるTOP営業が1ヶ月に10件販売してきても、その営業が宅建士ではない場合、最終的には宅建士に付き添ってもらいながら、もしくは宅建士に引き継ぎ、買主・借主に重要事項説明を行うことで初めて契約完了になります。
企業によっては、宅建保有者が、契約のための書類作成や重説(重要事項説明)を行うことがメインの業務で、販売する営業、重説をする宅建士と役割を分けてお互いのパフォーマンスを最大に活かす企業もあります。ですが、多くの会社は営業が契約業務も一貫して行っているため、企業としては、宅建士が欲しい!となるのです。
3.まとめ
今回の記事では、なぜ宅建が転職で有利になるのかをご説明してきました。しかし、宅建を持っていないからといって転職ができないわけではありません。宅建士でなくとも活躍している営業は沢山いらっしゃいますし、宅建が必須条件ではない求人も沢山あります。不動産業界の職種によっては、宅建士が一切必要ない職種もございます。転職をご検討中であれば、まずはご自身がどのような企業、職種に転職をしたいのか是非一度考えてみてください。そうすることで、必要なことが宅建や不動産鑑定士などの資格の勉強になるかもしれませんし、不動産会社にお勤めであれば紹介する物件がある地域の勉強であったり、実績を作ることが一番の転職で有利なポイントになるかもしれません。
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