現在不動産営業の仕事をしている方の中にも、不動産管理職に転職をしてみたいと思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、どのような能力をアピールすれば転職に有利に働くのかわからないといった方もいるかもしれません。
不動産管理職は人を相手にする仕事ですので、不動産営業で培った能力を、転職しても存分に発揮できる仕事です。そこで今回は、不動産管理職の仕事内容と、不動産営業から不動産管理職に転職するためにやっておくべきことについてご紹介します。

1.不動産管理職の仕事とは

不動産管理職の主な仕事には、「管理物件の入居者への対応」と「管理物件のメンテナンス」の2つがあります。以下で、この2つの業務について詳しくご説明します。

 

1-1.管理物件の入居者への対応

 

不動産管理職の仕事の中で、大部分を占めるのが入居者への対応業務です。主に以下の3つがあります。

・トラブルへの対応
「排水管が詰まった」「雨漏りがひどい」「隣人がうるさい」などのトラブルが入居者に起こった時、そのトラブルに対応するのは不動産管理職の仕事です。対応を無視すると入居者の退去を招く恐れがあるため、昼夜問わずトラブルの問い合わせがあった際には対応する必要があります。場合によっては罵詈雑言などのきついクレームもあり、強靭的なメンタルが必要です。

・家賃の督促
入居者が家賃の支払いを滞納している場合には、その督促を行うのも不動産管理職の仕事です。入居者によっては督促の電話に出ないこともあり、家賃の回収が困難になることもあります。その場合には保証人に連絡をすることになりますが、保証人から家賃の支払いを断られたりクレームをつけられたりすることもあり、粘り強く交渉する必要があります。

・入居者の退去立会
入居者の退去日には、物件を訪れ退去者の部屋の状態を退去者と一緒にチェックし、部屋の鍵を預かる必要があります。その後、部屋の状態によって原状回復の工事依頼やその工事費用の負担割合、敷金の返還有無などを決定します。原状回復の工事が発生した際には、退去者に負担割合の連絡を入れますが、その際に退去者から不満をぶつけられることもあります。

 

1-2.管理物件のメンテナンス

 

定期的に物件を訪れ清掃や草取り、外壁などの破損部分の有無の確認などのメンテナンス業務も不動産管理職の仕事です。廊下の電球が切れるといったトラブルを未然に防ぐためにも、定期的に巡回する必要があります。「外壁にひびが入っている」「屋根に穴が空いている」などの改修工事の必要性が見つかった際には、物件のオーナーに連絡し工事に納得してもらわなければなりません。

以上の2つが、不動産管理職に要求される仕事内容です。入居者やオーナーとのコミュニケーション能力が求められるため、不動産営業職から転職した人にとってはやりがいのある仕事といえます。ただし、管理する物件が多くなればなるほど、対応するクレームやメンテナンス業務の数も増えるので、非常に大変な仕事です。

 

2.不動産管理職に向いている人とは

 

上述の仕事内容から、不動産管理職には高い忍耐力が必要です。飛び込み営業で何度も断られたり、売上ノルマを達成できずに上司から怒られたりした経験のある方にとっては、不動産管理職で活躍するための忍耐力はついていることでしょう。反対に、不動産営業でクレームをつけられるのが嫌で管理職に転職したいと思っている方にとっては、おすすめできない仕事です。
常に勉強を欠かさず知識をブラッシュアップしていく姿勢も、不動産管理職には必要です。メンテナンス業務には、建築基準法や消防法などの法律に精通していることが求められます。設備のトラブルで入居者から対応を求められた際には、そのトラブルの原因が何か、修理を依頼する業者は的確なのかを経験から判断することも大切です。

 

3.不動産営業から不動産管理職に転職するためにやっておきたいこととは

 

不動産営業も不動産管理職も、どちらも忍耐力が必要な仕事です。それゆえに、日々ノルマを達成するために不動産営業の仕事を頑張っている方は、自然と不動産管理職でもやっていける忍耐力を持っています。そんな不動産営業の経験者が転職する前にやっておくことで、管理職のキャリアで成功に近づける方法があります。以下では、不動産管理職に転職する前にやっておくべきことを2つご紹介します。

 

3-1.さまざまな人と関わって付き合い方を学んでおく

 

前述の通り、不動産管理職は礼儀正しい優しい方から家賃を滞納して無視する方、きついクレームを入れてくる方などさまざまな人と関わる仕事です。そのため、自然と多くの人と関わりあえる不動産営業時代に経験値を積んでおきましょう。例えば、賃貸の仲介では老若男女問わずさまざまな人と自然に関わり、中には良い物件に巡り合えずクレームを入れてくる入居希望者もいるでしょう。そのような方の怒りを鎮める方法や付き合い方などの対処法を不動産営業時代に身に付けておけば、不動産管理職になった後に同様な方からクレームをつけられた際にも経験で乗り切ることができます。

 

3-2.資格を取得しておく

 

不動産管理職は特に資格が無くても仕事はできますが、知識の補完として持っておいたほうが転職には有利になります。不動産営業で働いている方ならば、既に宅建の資格を所持している方は多いのではないでしょうか。そこで以下では、宅建以外に不動産管理職に役立つ資格をご紹介します。

・管理業務主任者
管理業務主任者は、マンションの管理組合に重要事項の説明や管理事務報告を行える知識を有していることを証明する資格です。マンションの管理業者には管理組合数に応じて成年かつ専任の管理業務主任者の設置義務があるため、管理業者からしてみれば1人でも多く確保しておきたい人材といえます。不動産管理職への転職を目指すならば、まずはこの資格の取得を目指しましょう。

・賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は賃貸住宅の管理に必要な知識を有していることを証明する資格であり、不動産管理職に転職するならばぜひとも取得しておきたい資格です。さまざまな不動産関連の法律や修理の点検方法、設備の取り扱い方法など、資格取得には業務に直結する知識が多く要求されます。就職活動時のアピール材料になるだけでなく、業務を始めた際にオーナーや入居者へのアピール資格にもなります。

・マンション管理士
マンション管理士は、マンションの運営管理にアドバイスを行えるほどの専門知識を有していることを証明する資格です。この資格を所持していると、管理組合からの維持管理への相談に対するコンサルティングや修繕工事への指導などを行えます。不動産管理職としては、同僚への助言や物件のオーナーに対して修繕工事への説得力のある説明などに役立つため、取得しておきたい資格のひとつです。不動産管理系の資格の中では比較的知名度も高く、入居者やオーナーからの信頼獲得にも役立ちます。

 

4.まとめ

 

不動産管理職は、管理物件の入居者への対応や物件のメンテナンスを行う仕事です。入居者からクレームを浴びせられることも多く、精神的にきつい仕事でもあります。不動産営業から管理職に転職を目指すならば、クレームに対応できる忍耐力やさまざまな種類の人への対処法を身に付けておくことが大切です。また、転職の際には管理職に役立つ資格を所持しておくと転職の強い味方になるでしょう。役立つ資格には、管理業務主任者や賃貸不動産経営管理士、マンション管理士があります。