不動産会社の仕事には、「賃貸管理」という仕事があります。ただ、「賃貸管理」と聞いても、どのような仕事なのかあまりイメージできない人もいるのではないでしょうか。

簡単にご紹介すると、賃貸管理の仕事では、物件オーナーから賃貸アパートやマンションを預かって管理/運営を行います。

本記事では、不動産賃貸経営では欠かせない「賃貸管理」の仕事について、ポイントや注意点など解説していきます。


物件オーナーにとっては事業パートナーともいえる不動産管理会社の仕事を下記の4つのメイン業務を中心に詳しくみていきましょう。
1. 客付け
2. 
入居者対応
3. 
修繕対応
4. 
オーナー対応

入社後に仕事内容がイメージと相違が無いように、しっかりと業務内容を理解した上で、転職活動を進めていきましょう。


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賃貸管理の仕事内容1:客付け

賃貸管理の仕事は管理物件に空室が出ないように、入居者の募集(客付け)を行います。

賃貸経営を行う上で、空室の期間は家賃収入が得られないため、オーナー様にとって大きなリスクとなります。

そのため、空室期間が長くならないよう、早期に客付けを行うことは管理会社の信用度を保つためにもとても重要です。

 

具体的な仕事内容

客付けをするために、まずは入居希望者を集めるための「広告宣伝活動」を行います。

物件の案内チラシを作製し、ポスティングや折り込みチラシによる配布、ポータルサイト(アットホームやスーモ、レインズなど)への物件情報の掲載、合わせて仲介会社への紹介依頼を行い、物件に興味のある人を探していきます。

次に、物件に関しての問い合わせがあれば、案内日時を調整し、物件の内見案内を行うことも業務の一つです。

そのうえで入居希望者が物件を気に入り、条件がまとまれば賃貸借契約の準備を行います。

最近では入居時に家賃保証会社への申し込みが必須の物件も多くなっており、家賃保証サービスに加入するためには審査を受けて、承認が出た上で、物件オーナーへ報告を行います。

オーナーが問題ないと判断すれば、「賃貸借契約」と「重要事項説明」を行いますが、契約と合わせて必要な火災保険への加入手続きなどの事務的な作業も必要です。

その後、引き渡しの日に鍵の受け渡しを行い、客付け業務は完了となります。

 

客付けのポイント

「広告で集客した入居希望者を内見案内でいかに契約へと進めることができるか」が重要なポイントです。

丁寧な内見案内で入居希望者から信頼を得られれば、最初にお問合せ頂いてご紹介した物件(例えば物件A)自体は気に入らなくても別の物件(例えば物件B)を案内することも可能です。

そうすることで、自分が抱えている空室物件A~Zのうちの1つの契約ができる可能性が高くなります。

物件に関しては入居者の希望にあうかどうかが重要です。バストイレ別の物件が最重要な人もいれば日当たりが最重要な人もいます。

無理にその物件で決定してもらおうと急かしてしまうと逆効果になってしまうこともありますので、お客様の希望に寄り添いながらその物件が合うのかどうか、合わない場合は自分が持っている手札の中から合う物件があるかどうかを考えて提案していきましょう。

 

客付けの注意点

内見案内時の態度が悪いと、その担当者から部屋を借りたくないと考え他の物件で契約が決まってしまうこともありますので、丁寧に接客することが大切です。

他の入居者の統計情報や周辺環境に関する細かな情報まで伝えることで、安心して物件を決めることができるはずです。

物件のメリット面だけを伝えることや、契約を急がせるような圧力をかけることなど無いように注意しましょう。


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賃貸管理の仕事内容2:入居者対応

入居後の顧客対応も賃貸管理会社の仕事です。 入居者への対応がしっかりと行えなければ退去の可能性が高まりますので、とても大切な仕事となります。

退去率が低ければ空室になる頻度が減り、賃貸管理の仕事内容1でお伝えした客付け業務の頻度も少なくなるため、より入居者対応に時間を割くことができ、良いサイクルを作り出すことが可能です。
 

具体的な仕事内容

入居者対応の仕事内容でメインとなってくる3つの業務をご紹介致します。


◎家賃回収業務

最初にご紹介するのは、入居者から家賃を回収する業務です。

「家賃は毎月自動で口座から引き落とされるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、毎月決まった期日までに家賃を払う入居者もいれば、滞納してしまう入居者もいるのです。

滞納する人には主に2パターンの原因があります。

一つめは「単純に支払い忘れただけ/家賃引き落とし口座にお金を入れ忘れただけ」、二つめは「家賃を支払うお金がない」という原因です。

管理会社は滞納者に対して督促を行いますが、前者は比較的簡単な督促で支払う場合が多いですが、後者はいくら督促をしても支払うお金がないため、保証人に連絡を入れて代わりに支払ってもらうよう話をする必要があります。

また家賃保証会社と契約をしている場合は保証会社に連絡を入れた上で対応を行っていきます。


◎クレーム対応

次に入居者からのクレーム対応業務についてご紹介致します。

隣室からの騒音やゴミ出しに関する内容、漏水などの設備関係のトラブル、鳥の糞害など、様々なクレームの連絡が届きます。

具体的なクレームでいうと
「ペット禁止物件にも関わらず犬を飼っている人がいて、吠える声がうるさい」
「マンション内のゴミステーションから異臭がする」
「隣の部屋から夜遅い時間にも関わらず騒音が聞こえて眠れない」
などのクレームです。

クレームが届いた場合は、クレーム内容が管理会社で解決可能な内容なのか、費用はオーナー負担/入居者負担どちらで行うべき内容なのかを確認して依頼者やオーナーと話し合います。

費用がかかるものに関しては見積りを行い、話し合う際にどれくらいの費用がかかるものなのかも一緒に提示できるようにしておきます。

管理会社で解決しなければいけない内容に関しては、担当者が直接動かなければいけないため、クレームが多いマンションの担当になった場合は精神的にきつい時期もあるかもしれません。


◎その他

上記以外にも例えば契約更新業務がございます。

賃貸物件の契約期間は2年間が一般的であり、入居期間が2年を超える場合には契約更新の手続きが必要です。

契約更新を行う際は、入居者から合意書を回収し、更新しない場合は退去の手続きを進めることになります。

書類の作成や意思決定の回収を入居者一人ひとりの時期に合わせて行うため、管理物件の戸数が多かったり、管理物件数が多いとかなりの業務量となるでしょう。

 

入居者対応のポイント

入居者からの相談窓口や退去の際の連絡先となっていますので、不安な気持ちにさせないようスピーディーかつ寄り添う気持ちで対応することが重要です。

その他にもオーナーの代わりに入居者対応を行っていることを忘れずに行動しましょう。

自分の対応1つで入居者の方がその物件を居心地がいいと感じてくれるか、居心地が悪いと感じてしまうか変わるのです。

 

入居対応の注意点

入居者対応時、管理会社の休日関係なくクレームなどの連絡が入ることがあります。緊急事態であれば、休みの日でも現場に駆け付け、対応が必要な場合もありるでしょう。

もちろん振替休日を取ることでその時間を別の日に補うことができますが、いつ連絡が入るか分からないといった点には注意が必要です。

そんな注意点のある賃貸管理のお仕事ですが、年間休日の平均は109.6日と全業種の平均並みに確保できています。
厚生労働省平成30年就労条件総合調査による

新しい物件を担当した最初はサイクルが読めず休日に関しても大変なことがあるかもしれませんが、慣れてくるとその物件の入居者様特有のサイクルなどが分かったり、引継ぎの場合はそのサイクルに合わせて事前に固定の休日が組まれていることもあります。

心配な方は転職時にどれくらいの頻度で休日に連絡がくることがあるのか質問しておくといいでしょう。


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賃貸管理の仕事内容3:修繕対応

賃貸管理会社は物件の定期的なメンテナンスや退去に伴う修繕、長期的な修繕など行っていきます。

建物は時間の経過とともに劣化してしまうため、建物に関してもしっかりと管理を行い、建物の価値を高めていくことが重要です。

 

具体的な仕事内容

それでは修繕対応についての具体的な仕事内容を説明します。

エレベーターやエントランス、駐車場、廊下などの共用部を中心に、入居者が快適に利用できるよう日々の清掃を行います。

そして、決められたタイミングで物件の定期点検やメンテナンスを行うことも重要な仕事です。

具体的には外壁にヒビが入っていないか、電気やガス、水道の設備に異常がないかの点検です。

合わせて、「法定点検にて定められた場所に消火器など設置されているか」「非常ベルがきちんと作動するか」など、安全に暮らすためのポイントを確認します。

長期的な目線で修繕計画の作成も行います。長期修繕計画は、「物件をどのように維持・管理していくのか」定めたもので、この計画を元にして、修繕積立金が毎月集められ、保守や点検などを行います。

老朽化に伴い、不動産の価値はどんどん下がっていくことが一般的です。 その不動産の価値を高めるためにリフォーム工事を行っていきます。

具体的には退去後のタイミングで、壁紙の貼り替えや畳の表替えなどの原状回復工事と合わせて行います。

魅力的な物件にするために、水回りの設備を新しいものに交換すること、可能であれば壁を壊し、間取りの変更をすることもありますが、その工事の発注先業者を選ぶことや発注を行う事も重要な仕事です。

物件の状態次第では、修繕ではなく建て替えという判断になる可能性もあります。

 

修繕対応のポイント

定期的なメンテナンスや修繕を行うことで、建物のトラブルが減少し、建物に関するクレームも少なくなります。

ただし、日々の生活に影響が出るような設備のトラブルなどは対応のスピードが重要です。

修繕に必要になりそうな金額や対応策をオーナーと協議し、できる限り早く対応する必要があります。

 

修繕対応の注意点

修繕対応が終われば、管理会社がしっかりと現地の確認を行うことが重要です。確認を行った上でオーナーに業務が完了したことを報告しましょう。

また建物に関する建築基準法や、消防法は改正される可能性がありますので、日々情報を確認し勉強しておくことが重要です。

そのうえで、建物管理に関してオーナーに提案できる存在を目指しましょう。


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賃貸管理の仕事内容4:オーナー対応

賃貸管理会社は物件オーナーから委託を受けて管理業務を行っていますので、最終的な決断はオーナーが行います。

そのための情報提供やプロとしての提案などが賃貸管理会社に求められます。

 

具体的な仕事内容

先程説明したように、管理会社は客付けの業務を行いますが、その際に入居者を募集する家賃や条件などをオーナーに相談を行います。

空室が0の状態を保つことが大事ですので、近隣での平均賃貸価格の変化などがあれば、近隣の賃貸価格を一覧にした提案書を作成し、家賃の設定金額の変更を提案することもあります。

また入居者は、オーナーではなく管理会社へ家賃を支払い、管理会社はその家賃を取りまとめてオーナーへ送金します。そうすることで、オーナーは管理会社からの入金のみを確認すれば良いため、入金状況の管理など手間も省けますし安心です。

その他にも、管理物件でトラブルがあればオーナーへ全て報告しなければなりません。問題があれば、解決方法はプロとして提案しますが、費用の面もありますので、最終的な決断はオーナーが行います。

オーナーが質問してくる前に管理会社から定期的に連絡を入れておくことで、オーナーが自社を信頼して契約をし続けてもらえるでしょう。

 

オーナー対応のポイント

オーナーは相談だけでなく、賃貸管理のプロとしての提案を期待しています。オーナーに対しては、ただ判断を委ねるだけではなく、細目に報告を行い、具体的な提案を行うことが重要です。

特に費用が発生するような対応を行う場合には、全体の費用を算出した上でオーナーに相談し、了承を得てから作業に入っていきます。

修理代やリフォーム代などの費用を負担するのはオーナーですので、オーナーの意向に沿った対応を行うことが大切です。

 

オーナー対応の注意点

客付けの条件次第では、退去後の入居者がなかなか決まらず、空室期間が長くなってしまうこともあります。

そのような場合にもオーナーが不安にならないように注意しましょう。

空室はオーナーにとっても大きなリスクですので、しっかりと状況の報告と早期入居に向けた提案を行うことが大切です。

 

賃貸管理の仕事内容を理解した上で転職活動を

本記事では不動産会社の仕事の一部である「賃貸管理」という仕事について解説しました。

物件オーナーにとって、管理業務は経営を左右するほど重要な仕事です。

だからこそ、物件オーナーは管理業務を不動産管理会社に委託し、その範囲によって、手数料を支払うのです。

もしも、管理を委託している間に退去が続き、入居者がなかなか決まらないようなことがあれば、管理会社の力不足と判断され、委託は打ち切られ、新しい管理会社と契約する可能性がある点も頭にいれておきましょう。

だからこそ、物件オーナーへは密に報告・連絡・相談(提案)を行い、信頼関係を構築しておくことが重要です。

不動産業界を未経験の方でも、取り組みやすく、物件オーナーと入居者から感謝されるやりがいのある仕事です。

本記事を読み、仕事内容について理解をした上で、ぜひ賃貸管理のお仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


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