不動産業界へ転職希望のため、または、不動産業界でのステップアップを目指して、宅建士試験を受けた方も多いのではないでしょうか。

見事、試験に合格しても、不動産の仕事が未経験の場合、次に何をすればよいのか、宅建士としてどのように仕事をすればよいのかわからない人もいるかと思います。そこで、この記事では、主に不動産業界が未経験の人のために、宅建士として仕事をするために、試験の合格後に何をすればよいのかについて詳しく解説していきます。また、宅建士として不動産業界に転職するおすすめの方法についても説明しますので、不動産業への転職を希望している人は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.試験に合格しただけでは「宅建士」になれない!?

多くの資格試験とは違い、宅地建物取引士(宅建士)は、試験に合格しただけでは「宅建士」の免許証をもらうことはできません。試験に合格してから、宅建士として仕事ができるようになるまでの手続きは、以下の通りです。

1.登録実務講習を受講する(不動産業の経験が2年以上ある場合は不要)
2.登録実務講習の修了試験を受ける
3.資格登録をする
4.宅地建物取引士証交付の申請をする
5.宅地建物取引士証を受領する

試験に合格しても、まだこんなに手続きがあるのかと思われるかもしれませんが、宅建士の資格は、一度取得すれば5年ごとの更新だけで一生使える資格です。

ぜひ、これらの手続きをクリアして、宅建士の免許証を手に入れましょう。

 

1-2.登録実務講習とは?

登録実務講習とは、宅建士としての実務を学ぶための講習で、対象は不動産業が未経験の人、または、不動産業の経験が2年未満の人です。

登録実務講習は、専門学校や資格学校などで開催されており、受講を申し込んで約1ヶ月間の講習を受けた後、修了試験に合格する必要があります。

費用は受講機関によって異なりますが、おおむね2万円程度です。受講方法やスケジュールにあわせて、受講先を選ぶとよいでしょう。

 

1-3.登録実務講習を受講しないと?

宅建士の資格試験に合格したものの、今のところ不動産業に転職するつもりはないので、すぐに免許証は必要ない、という人もいるでしょう。

そのような場合は、宅建士合格の有効期限はないので、今すぐに登録実務講習を受講せずに、宅建士の免許証が必要になってから受講しても大丈夫です。

ただし、受講の際には合格証が必要になるので、失くさないように保管しておきましょう。

 

1-4.資格登録をする

不動産業の実務経験が2年以上ある人か登録実務講習を受けて修了試験に合格した人で、宅建士としての欠格事由のない人は、宅建士としての資格登録ができます。

欠格事由とは、宅建士として仕事をするのにふさわしくないとされる事柄のことで、主なものは次の通りです。

・破産手続きをして復権していない人
・心身の故障により宅建業を適正に営めない人
・一定の刑罰の対象となったことがある人
・これまでに免許取り消しの処分を受けた人
・未成年者で法定代理人が欠格事由に該当している人
・暴力団員等に該当する人

これらに該当しなければ、各都道府県の窓口に以下の書類を提出して申請し、資格登録をします。

・登録申請書と誓約書
 各都道府県の窓口にあります。ダウンロードもできます。
・身分証明書
 成年被後見人や被保佐人、破産者ではないことを証明するもの。市区町村で発行できます。※運転免許証などではありません。
・登記されていないことの証明書
 成年被後見人や被保佐人、破産者として登記されていないことを証明するもの。法務局で発行できます。
・住民票
 市区町村で3ヶ月以内に発行されたもの。
・合格証書
 原本とコピーを準備。コピーは提出、原本は返却されます。
・顔写真
 縦3cm×横2.4cmのカラーのもの。
・2年以上の実務経験や登録実務講習済を証明する書類
・従業者証明書
 宅地建物取引業者に従事している人のみ必要です。原本とコピーを準備し、コピーを提出します。
・印鑑
 シャチハタではないもの。

身分証明書や登録されていないことの証明書は、不動産会社の専任登録宅建士になる際にも必要なので、その予定のある人は、2部ずつ取得しておくことをおすすめします。

登録手数料として、現金3万7千円を申請時に支払う必要があるので、前もって準備しておくようにしましょう。

 

1-5.宅地建物取引士証の交付申請をする

登録申請が完了すれば、後日、登録通知のハガキが郵送されてくるので、登録通知と以下のものを持って、各都道府県の交付申請窓口で免許証の交付申請をします。

・宅地建物取引士証交付申請書
・顔写真(縦3cm×横2.4cmのカラー写真2枚)
・印鑑

また、交付手数料として、現金4,500円の支払いが必要なので、準備していきましょう。

宅建士としての資格登録は、試験合格後いつでもできますが、免許証の交付は、試験合格後1年以上経っていると「法定講習(登録実務講習とは別の講習)」を受講しなければなりません。

できるだけ時間や負担をかけずに宅地建物取引証を手に入れたい場合は、試験合格後、1年以内に交付申請まで済ませることをおすすめします。

 

2.宅建士としての転職

宅地建物取引士証を手にしたら、いよいよ宅建士として仕事をすることができます。

これまで不動産業に携わっていなかった人の中には、宅建士として転職活動を始めようと考えている人もいることでしょう。

ここでは、不動産業界が初めての人に向けて、宅建士として失敗しない転職活動について説明していきます。

 

2-1.まず転職として賃貸仲介か宅建事務がおすすめ

不動産業界での初めての仕事としては、賃貸物件の仲介営業か宅建事務をおすすめします。なぜなら、どちらも不動産業界での求人が比較的多くあり、また、経験が乏しくても周囲の手助けがあればこなすことができる業務だからです。

賃貸仲介の営業に就くと、不動産業務をこなすために必要な接客術や物件の案内業務、契約に必要な諸書類の作成方法、保証会社や保険会社との契約手順、重要事項説明の実務など、さまざまな知識と経験を身につけることができます。

人と接することにあまり自信がなければ、宅建事務がおすすめです。宅建事務の仕事に就けば、不動産取引の書類作成方法や取引全体の流れを把握することができます。

また、どちらの業務であっても、宅建士の資格があれば、重要事項説明書に記名、捺印をして、実際に説明を行うことも可能です。

 

2-2.転職するなら大手と中小、どちらがおすすめ?

一概には言えませんが、不動産会社に所属し続けて不動産業に携わっていきたいのならば大手の不動産会社が、将来、独立開業を目指しているのならば中小の不動産会社がおすすめです。一般的には、勤務条件や福利厚生などは、大手の不動産会社の方が良く、働きやすい場合が多いです。しかし、業務が細かく分担されていることが多いので、取引全体の流れを学びにくいというデメリットがあります。

一方、中小の不動産会社は、勤務条件が大手よりも厳しい場合が多いですが、集客から案内、契約までのすべての業務を任されてこなさなくてはならないので、業務全体の流れを把握することができます。

どのような働き方をしたいかによって、大手不動産会社か中小の不動産会社かを選ぶよと良いでしょう。

 

2-3.不動産業界に転職したら収入は?

不動産業界の多くの会社では、営業職の場合、固定給に歩合給を上乗せするという給与体系を採用しています。

固定給は安く設定されていることが多いですが、その分、契約を多く取ってくれば歩合給が加算されるので、高収入を得ることが可能です。

不動産会社にもよりますが、多くの会社では、月額1~3万円程度の宅建士の資格手当がつくのもうれしいポイントです。

 

3.まとめ

宅建士の資格試験に合格した後、宅建士として仕事をするまでの手続きや流れについて説明しました。試験勉強も大変だったのに、まだ、いろいろな手続きが必要だったり費用がかかったりするのかと思われたかもしれません。
確かに、宅地建物取引士証を交付してもらうまでの費用や手間はかかりますが、交付が完了すれば、一生ものの免許証を手に入れることができます。不動産業界で活躍するためにも、早めに合格後の手続きを済ませて、宅地建物取引士証を手に入れましょう。