宅地建物取引士の資格を持っていると、転職に有利だと言われます。
具体的には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は下記内容について詳しくまとめました。
• 宅建は転職に有利?
• 求人募集が多い業界や職種は?
• 宅建の有無で年収は上がる?
結論から言うと、宅建所有者は不動産業界への転職に特に有利となっており、資格手当による年収増が見込めます。
不動産業界で勤務経験のある筆者の体験談をもとに、宅建を活かしたキャリアアップの方法について、解説していきます。
宅地は転職に有利?
宅建を持っていると、転職市場で有利に働くのは間違いありません。
理由は3つあります。
1. 難易度の高い資格だから
2. 宅建士にしかできない独占業務があるから
3. 宅建業を営む企業は宅建保有者が必要だから
こちらについて、順番に解説していきます。
1.宅建は難易度が高いので評価される資格
宅地建物取引士の試験は、国家資格の中でもそれなりに難易度が高いです。
そのため、宅建を持っているだけで「一定レベル以上の学力」「学習への努力」の両方をアピールできます。
• なぜ宅建試験を受験したのか
• どんなキャリアプランを考えているのか
• 資格勉強は独学か、スクールか
• 今後の資格試験への志
上記のような点を掘り下げて伝えられれば、自分のキャリアを自分で決められる「有能な人材」だと判断されることでしょう。
不動産業界への転職はもちろん、関連性のない業界への転職だとしても、宅建資格を切り口に、書類審査や面接を有利に切り抜けるきっかけの1つとなるでしょう。
2.宅建士にしかできない独占業務の存在
宅地建物取引士は、名前の通り「士業」です。
資格を所有している人にしかできない「独占業務」が存在するため、転職市場でも有利になります。
具体的には、契約前の「重要事項説明書の読み合わせ」および、契約書への押印。
これらの業務は、宅建士でないと担当できません。
例えば、どんなに売れっ子の不動産営業でも、宅建を持っていなければお客様との契約行為はできません。
宅建を持っていないとできない仕事があるということは、宅建所有者が「必ず必要とされる」ということ。
今後も、宅建士の存在は重要であり続け、将来性のある資格だと言えるでしょう。
3.宅建業を営む会社は宅建士が一定割合以上必要
不動産業者や、ゼネコン会社など、宅地建物取引業を営む企業は、5人に1人以上の割合で宅建所有者の在籍が必要です。
これは宅建業法に定められており、全国共通のルールです。
例えば、不動産仲介をする従業者数10名の会社があったとすると、少なくとも10名のうち2人は、宅建士が在籍していないと営業できません。
もしも宅建士が欠員してしまった場合は、急遽、宅建士の求人を出す企業もあります。
大企業では宅建士の欠員はそれほど問題になりませんが、小規模事業者であれば、転職時に大きなメリットとなるでしょう。
宅建士の求人募集が多い業界は?
宅建士の求人募集が多い業界は、以下の3つがメインです。
• 不動産業界
• 建設(ゼネコン)業界
• 金融業界
それぞれの業界での職種や評価のされ方を、詳しく解説していきましょう。
不動産業界の求人
不動産業界の正社員募集では、宅建士の資格が必須になっているケースも多いです。
特に不動産開発(デベロッパー)や、不動産営業の分野では、宅建の能力を直接業務に活かすことができます。
先ほど、宅建士の独占業務にも触れましたが、不動産契約に当たっては、必ず宅建の資格が必要になります。
宅建が応募条件になっている企業も多いです。
■宅建事務職とは何?
不動産業界の求人募集の中でも、「宅建事務職」というものがあります。これは、宅建士の独占業務である「重要事項説明書の読み上げ」を中心に、契約業務だけを担当する仕事です。
不動産の販売や仲介では、契約前に必ずお客さんの前で「物件に関する要注意事項」を読み上げる必要があります。
売れっ子営業は、お客さんに物件を決めてもらう。
しかし、その営業は宅建士の資格を持っていない…そこで、宅建事務職の人が登場して、契約の仕上げを行ってしまうということです。
重要事項説明には時間がかかりますし、専門的な知識も必要ですから宅建事務職の存在が不可欠になっている事務所も多いです。
不動産事務職への転職の場合は、営業未経験・不動産業界未経験でも、宅建士に合格していれば即採用というようなこともあるようです。
ゼネコン業界の求人
ゼネコン業界でも、宅建士の求人を出していることが多いです。
大手~中堅ゼネコンでは、建築の請負だけでなく、自社施工した物件を自らの営業部門で販売する企業も増えています。
不動産販売には、当然ながら宅建士の存在が不可欠。
そのため、ゼネコン業界でも、宅建士の需要が少なくありません。
金融業界の求人
金融業界でも、宅建士の資格を持っていると有利になります。
大手銀行では、住宅ローンや事業ローンの貸し出しに、不動産を担保に入れるケースが多いです。
特に信託銀行では、相続や不動産仲介も業務範囲に入っておりますので、宅建士の資格が重要になってきます。
不動産業界では宅建を持っているのは当たり前ですが、金融業界で宅建を持っている人は相対的に少ないはずです。
不動産の知識を武器に、金融業界での転職を有利に進めていくのも一つのキャリアアップ戦略と言えそうです。
その他
宅建の有無で年収に差が出る?
宅建の有無は、当然、年収にも関係してきます。
最も基本的な部分では、「資格手当」の存在があります。
企業によって金額には差がありますが、宅建を持っていることで月5,000円~数万円程度の資格手当が支給されます。
例えば月3万円の手当であれば、年収換算で36万円の増収。
日本企業では、給与査定の基礎金額を上げるためにはある程度の期間や実績が必要ですが、資格手当であれば即効性があります。
資格手当の金額が高い企業を選択するのも、ひとつの戦略となりえるかもしれません。
また、大手不動産会社の正社員の場合は、宅建に合格しないと昇格できないケースもあります。
不動産営業はインセンティブ(ノルマ)もある
宅建士を活かした職種として、不動産営業は一般的です。
不動産営業には、インセンティブ報酬(出来高制)が付いているケースも多く、成績が良ければ年収はどんどん上がっていくことも期待できます。
実力主義で年収を挙げていくことができる一方で、大手の不動産会社では「ノルマ制度」を廃止する企業も出てきています。
不動産営業は土日出勤が基本!水曜定休が多い
宅建士を活かした不動産営業職に転職する場合、多くの企業で土日出勤・水曜定休になっています。
営業職は、お客様を相手にする職種ですから、お客様が休みである土日祝日が業務のメインになってくるためです。
逆に「(契約が)水に流れる」という言葉を嫌って、水曜日を定休日に設定しています。
働き方改革によって業務量は見直されていますが、基本的には不動産業界は「激務」な部類に入ると思います。
その分、年収1000万円を超えるような魅力的な転職先も多いですから、自分のキャリアプランに合わせて応募しましょう。
まとめ
今回は、宅建士の資格と転職について、情報をまとめました。
簡潔に要点をまとめると以下の通りです。
• 宅建は転職に有利
• 独占業務があるため将来性もアリ
• 不動産、ゼネコン、金融業界での求人が多い
• 資格手当で年収アップに繋がることも
宅地建物取引士は、難易度の高い国家資格です。
その分、転職市場でも大きなアピールポイントになり、選考上、有利に働きます。
資格手当の金額を考えると、非常にコストパフォーマンスの高い、価値ある資格であると言えるでしょう。
是非、宅建資格を活かし、自身のキャリアアップにつなげてください。