「不動産業界って、女性でも長く働けるの?」

このような疑問をよく耳にします。現在不動産業に従事している方も、これから挑戦してみたいと思っている方も、出来るだけ自分に合ったペースで長い間働きたい、といった気持ちは同じだと思います。

とりわけ女性は、結婚・出産・育児・介護などのライフイベントが仕事に大きく影響します。

これらについて主体的に取り組む男性の割合も近年増えてきているものの、まだまだ現状は女性の方が担う割合が大きいです。

本記事では、20代・30代女性が今後のキャリアプランを検討した際に起こる疑問や不動産業界での女性活躍割合、筆者が実際に経験した育児をしながらの転職についてご紹介します。


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不動産業界で女性はいつまで働ける?

まず初めに、「不動産業界」に絞らず、社会全体として現在女性はいつまで働くことができるのかを見ていきます。

 

現在の女性の働き方について

「寿退社」といった言葉があったのも今は昔。令和の現在では、結婚・出産・育児・介護など、それぞれのステージで起こるライフイベントにより、キャリアを中断しない女性が増え続けています。

以前は、会社に育児休業の制度こそあれ取得しにくい雰囲気。そもそも制度を活用している先輩女性社員のロールモデルがなく、「バリキャリ」と呼ばれるような、仕事において大きな成果を残している女性でない限り産休・育休の取得を戸惑うケースもあったようです。

また、正社員で働き続ける女性は未婚のことが多く、結婚して子育てをしているとアルバイトや契約社員として働く選択肢しかなかったことも。

しかし、2010年に育児・介護休業法の改正で時短勤務制度が企業に義務付けられ、育児休業から復職後も無理のない・働きやすい環境を整備する流れが急速に広まりました。

出産による退職は無くなりはじめ、職場復帰は当たり前。ワーキングマザーといった言葉も社会にかなり浸透していきました。

2000年代初めの頃は、育休後にフルタイム勤務での復職がほとんど。とても仕事と子育てを両立なんて出来ない…といった声が多かったようで、そんな悩みを解消するための法改正でした。

もちろん、全ての会社がライフイベント後に復帰しやすい環境ではありませんし、結婚したり出産したりすると、男性と比較して自分が思い描いていたキャリアプラン通りには進みません。ただ、以前よりも働きたい女性の選択肢はかなり増えています。

夫婦のどちらかが転勤になった場合、女性側の退職一択ではなく、赴任先帯同休暇制度やリモート勤務に切り替え可能な会社も。働き方は10年前と比較して本当に多様化しています。

 

不動産業界における女性の働き方について

では次に、不動産業界における女性の働き方についてみていきましょう。

不動産業界は昔、残業が多かったり、休日出勤が当たり前だったりと、女性が長く働くには厳しい環境でした。

また、不動産業界は toC営業のため土日がメイン業務となり、出産したあと子供のイベントに参加することなどを考えると働き続けるのが難しかったのは確かです。

しかし、昨今では働き方改革によって残業が少なくなり、有休も年に最低5日使用しなければいけないなど法律によって労働環境が変わったことからまずベースの働き方が変わりました。

その後、「不動産業界=ブラック」というイメージを払拭するために、従来の不動産会社とは違う方面から攻める不動産会社が設立され、土日休みの仲介営業や年間休日145日のカウンター営業など+@の部分も変わっていき、現在では女性もかなり長く働きやすい環境になりました。

もちろん、不動産業界のすべての会社が変わったわけではないため、会社を選ぶときにはしっかりと下調べをすることが大切です。


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不動産業界で活躍する女性の割合

では実際に不動産業界で活躍する女性はどれくらいいるのでしょうか。

総務省の労働力調査データを参照すると、不動産業における女性就業者数比率は約40%(2019年)。過去10年分のデータを見ると、その数値はゆるやかにですが上昇しています。

一方全産業平均での女性就業者は約43%のため、そこまで大きな差が出来ておらず、不動産業界が特段男性社会であるとは言えないように感じます。

ちなみに、全産業で一番女性比率が少ない業界は建設業で、18%程度です。

※参考:一般財団法人 土地総合研究所 リサーチ・メモ(「① 就業者に占める女性の割合」)


実際に不動産業界でも女性活躍に向けた働き方改革や意識改革を実施している企業も出始めており、ある不動産会社では営業成績優秀者のうち、女性の割合が57%と前年比19%増を実現した会社もありました。

※参考:女性活躍推進に優れた企業として令和元年度「なでしこ銘柄」に選定

 

自分のライフプランに合った職種は?

不動産業界の中でも、どの職種を選ぶかで環境や働き方も大きく異なります。大まかにでも自分の希望を挙げていくと、選択肢が明確になってきます。

・コミッション報酬制度を活用して、営業職で高い報酬を狙いたい
・勤務時間内で業務が完結できるような、事務職で安定して長く働きたい
・家族と仕事によるすれ違いを無くすため、土日出勤の業務は避けたい
  
上記の例だけでも、それぞれ仕事において大事に考える要素が「報酬/労働時間/休日」と様々です。

営業職であれば、売上の数字が業績評価に直結するため、ジェンダーギャップは少ないように感じます。安定して売上目標を達成し続ける大変さはあるものの、勤務時間は事務職に比べるとフレキシブルに対応できます。

何よりも、高い営業力は業界を問わず重宝されますので、同業内でのキャリアアップはもちろん、異業種転職を考えた場合にもスムーズに叶う可能性が高いのではないでしょうか。

これは女性に限らずですが、常に売上を意識しなければならない緊張感を苦痛に感じてしまう方には不向きでしょう。

事務系職種は、営業職と比較すると勤務時間や繁忙期が予測できプライベートの時間も確保しやすい傾向があります。休日出勤もないことが多いでしょう。

事務職と言っても一般事務や営業事務、宅建事務など種類があり、どの職種を応募するかによって休日が変わってきます。もちろん職種だけではなく、企業によっても変わるため、求人をしっかりと確認することが重要です。

宅地建物取引士の資格を保有していると、契約前の重要事項説明に関わる事も出来、更に業務に厚みが増してきます。

事務職のデメリットは事務職を希望する方が多い点です。不動産業界に限らず、事務職は希望する方が多いため、転職においてプラス@のスキルがないと転職活動は難しいかもしれません。

復帰したときには既に新しい社員が入社していた、、、なんてこともあるでしょう。また、今後はますますAIをはじめとするテクノロジーが活用され、従来とは全く異なる働き方に変化していくのではないでしょうか。

自分の付加価値を見出しながら働くことが大切です。


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フルタイム2児ワーママの不動産業界転職活動実話

ここからは、筆者自身が未就学児育児真っただ中で行った転職活動の体験談をお伝えします。

筆者は、3年前に不動産ファンド会社から外資系総合不動産会社へ転職しています。
当時子供たちは5歳と2歳でした。

不動産ファンド会社へ育休から復職して1年目。休職前はIR担当でしたが、復職時に配置換えがあり、繁忙期が予測しやすい経理部へ配属されました。

時短勤務も取得し、子供の体調不良で急遽休まなければならない場合も周りからフォローしてもらい、今振り返ればこの上ない環境で働いていたのだと思います。

ただ、当時は業務に少し物足りなさを感じ、違う環境で自分を試してみたいと考えるようになっていました。それに加え、子供たちが保育園に通っている間の方が転職活動しやすいと聞いた事があったのです。

子供が小学校に入ると、それまでの生活スタイルが一変します。学童保育にお願いできる時間は多くの場合保育園よりも短いですし、初めのうちは毎日の宿題や持ち物のフォローも必要です。

また、時短勤務を取得できる期間を「子供が小学校に入学する前まで」と定めている企業もありますので、親自身の生活リズムや業務量にも変化が出やすい時です。環境はそれぞれですので一概に比較は出来ませんが、「子供が小さいから転職は出来ない」といった訳では決してないのです。

転職活動では、転職エージェントに協力して頂きました。総合型の大手エージェント、不動産業界特化型エージェント、外資系企業特化型エージェントの3社にそれぞれ登録。転職の理由や転職先の希望条件を詳しく相談して、求人を紹介してもらいます。

なお、働き方を派遣社員やパート勤務に変更することは考えませんでした。業務内容、報酬、勤務形態、勤務時間や福利厚生を考えた時に正社員以外を選択するメリットがそこまで感じられなかったのです。

職務経歴書には、実際に産休・育休を取得した期間を記載し、育児中であることは公表していました。保育園の利用状況やお迎えの時間、子供が急な体調不良の場合のサポート体制、その他事前に知らせておきたい事は転職エージェント担当者にも伝えると、より適切にサポートして頂けます。

その後数社面接に進みましたが、中には圧迫面接のような雰囲気になった会社もあります。

「残業がありますけど、大丈夫ですか?」
「業務の他に自己研鑽で勉強して欲しい場合、学習時間はしっかりとれますか?」

など、子育てと仕事の両立に対して確認するかのような質問が淡々と続きました。

その場にいた面接官4名は全員男性で、筆者は何だか肩身が狭く居心地の悪さを感じてしまったのです。結局その会社とご縁はありませんでしたが、育児真っただ中での転職に対する企業の本音を垣間見たような件でした。

一方、後に転職先となる企業との面接では、これまでの経験値を今後どのように活かしていくかといった点が面接の主な内容になりました。

家庭の状況については、確認程度の質問があったのみです。外資系という風土もあってか、子育てをしながらの転職活動を、特別な事と捉えてはいなかったように感じます。

転職エージェントには、上記のように面接で感じた企業の印象を率直にお伝えすると、次回以降の求人検索で考慮してくださる場合もあります。

転職活動は本音ベースで続けないと、入社したあとにミスマッチを感じてしまうことになり兼ねません。転職エージェントは候補者の気持ちに寄り添いながら転職まで伴走してくれるパートナーです。ぜひ、良い意味で「わがまま」に、ご自身の希望に沿った転職先が見つかると良いですね。

 

女性だってキャリアを諦める必要はない

20代、30代の女性が今後のキャリアプランを考えた時に、不動産業界で長く活躍できるのかといった視点で解説してきました。

従事する職種や所属する会社の制度により差はありますが、今は社会全体としても女性が働き続ける事へのサポートが手厚くなってきています。

男性優位社会と言われていた不動産業界も、実際の男女比をみると大幅に差がある訳ではなく、また今後は不動産テックの活用で働き方がどう変わるかは未知数です。

少しでも不動産業界が気になる、不動産業界で転職を考えている女性は、エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。


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