「源泉営業がきついので反響営業の会社に転職したいです。」
「反響営業って楽そうだなと思うんですけど実際どうなんですか?」

不動産営業を6年経験した私が、現在不動産業界の転職サポートを行っている中で耳にする言葉です。

では反響営業は本当に源泉営業と比較して『楽』なのでしょうか?

今回は、不動産業界で、源泉営業と反響営業の両方を経験し、現在不動産業界の転職サポートを行っている私が考える、源泉営業と反響営業の違いについて解説致します!


『源泉営業=きつい / 反響営業=楽』という一般的イメージは果たして正しいのでしょうか?


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不動産営業の種類について

不動産業界未経験の方や現在勤務している職種以外はあまり知らないな、という方に向けて、まずは不動産の営業はどのような種類があるのかを簡単に説明致します。

大きく分けると、不動産営業は4つの種類に分けられます。

 

1.仕入れ営業(用地仕入れや一棟物件仕入れなど)

目的に応じて、土地や物件を獲得する営業です。動く額もかなり大きいため信頼関係がとても重要な職種であり、契約を獲得するために2年、3年かかることもあります。

仕入れる案件は、マンション、アパート、商業施設やホテルの開発用の土地、投資用の区分マンションや一棟マンション、一棟オフィスビルなど、様々です。仕入れる商材はもちろん、エリアによっても地主の方の特徴が違いますので、同じ営業手法では成果を出し続けられない点はとても難しいでしょう。

開発系の事業を展開する上で最上流(=入口)と言われる職種であり、不動産デベロッパーやハウスメーカーは、仕入れ営業が開発用の土地を開拓できなければ事業が成立しない、非常に重要なポジションということができます。
 

 

2.仲介営業(売買仲介営業や賃貸仲介営業など)

不動産を『売りたい方と買いたい方』、または『貸したい方と借りたい方』を繋ぎ、両者のマッチングを行う営業です。

主に、買いたい側または貸したい側のニーズに寄り添い、不動産協会の運営する不動産データベース『レインズ』を通じて幅広いオプションの中から提案します。

不動産業界にチャレンジしたいという不動産業界未経験の方は、売買仲介や賃貸仲介営業から始める方が多いです。

また、売買仲介営業ではお給料にインセンティブが追加されることが多く、稼げる職種としても有名です。賃貸仲介営業でもインセンティブはありますが、賃貸仲介営業よりも単価が高いため、稼ぎたい想いがある方は売買仲介営業が向いているでしょう。

 

3.販売営業

自社で開発した物件や、販売委託を受けている物件の販売を行う営業です。基本的には販売をする物件は決まっており、お客様のニーズに合わせて物件を探す仲介営業とは異なり、お客様のニーズを特定の物件に合わせにいくことが重要です。

展示場営業などを想像してもらうと分かりやすく、来場されたお客様のニーズを聞き、そのニーズに如何にこの物件があうかをご紹介していきます。

お客様のニーズとマッチしなかった場合、仲介営業と違いご紹介できる幅が少ない点が難しいポイントです。


 

4.その他

上記の他にも、不動産業界には下記のような営業職がございます。

・商業施設やオフィスの区分を貸し付ける『リーシング営業』
・管理物件を獲得することを目的とした『管理受託営業』
・土地所有者に対し、土地の有効活用を提案する『土地活用営業』
・築年が経過した区分物件所有者や一棟物件所有者に対しリノベーションを提案する『リノベーション提案営業』

自分に合った営業職が分からない、という方もいらっしゃると思いますので、 悩んでいる方は是非一度お問合せ下さいませ。


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源泉営業と反響営業について

不動産営業の種類について説明をしてきましたが、ここからは営業『手法』について説明致します。

不動産業界における営業は、主に『源泉営業』『反響営業』『紹介営業』に大別されます。ただし、『紹介営業』のみで成立している不動産会社は非常にまれである為割愛させて頂き、こちらのコラムでは『源泉営業』『反響営業』について解説致します。
 

 

◎源泉営業

実はこの言葉、私が不動産業界で勤務をする中で初めて聞いた言葉であり、広辞苑などの文献にも掲載がないそうです。

不動産業界にて使われる特有の言葉であり、源泉営業とは一般的に『営業担当自身が買いたい、売りたい、などのニーズがあるお客様を開拓する営業』と定義されます。

具体的な手法としては、『飛び込み訪問』『電話営業』『路上アンケート』がその代表的なものになります。

飛び込み訪問は近年では少なくなってきましたが、今日はこのエリア、このマンション、と決めて、お客様に不動産を購入するニーズがないか聞いて回ったり、まずは色々な企業を周って名刺交換をしたりします(のちに電話営業を行うため)。

それ以外にも、街中で販売物件のチラシをまき、興味を持ってくれたお客様がいた場合には物件のご紹介をしたり、その時にはご紹介をしなくともアンケートを取ることで今後のお客様としてお客様情報を獲得したりします。
 

 

◎反響営業

一方反響営業とは、その文字からも想像ができる通り、お客様からのお問い合わせに対してアプローチを行う営業手法です。

具体的な反響獲得の手法としては、『チラシからの反響』『WEB広告からの反響』『看板などの広告からの反響』などがあります。

もちろん、反響をいただいたあとにお客様にご連絡をすることでお客様と商談をすることができますが、源泉営業と違うのは、不動産(自社の物件)に興味を持っているお客様にご連絡をする点です。

不動産に関するチラシを見て、不動産について調べていた時に出てきた広告を見て、問い合わせて下さったお客様にお電話をするので、お客様としても「聞きたいことがあるんです、、、」といったように能動的な方が多いです。

源泉営業が自らが動くことでお客様との接点を持つとしたら、反響営業はお客様が動くことで自社との接点が生まれます。




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源泉営業と反響営業の違いとは?

源泉営業と反響営業について解説してきましたが、では源泉営業と反響営業の大きな違いはなにがあるのでしょうか?

図解でまとめると、源泉営業と反響営業の違いは以下のようになります。

そこまで大きな違いがあるようには見えませんが、実際にはどのような点において違いがあり、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるか、様々な側面や私が実際に経験した内容をもとに解説致します。

 

源泉営業と反響営業の違い:お給料

一般的に、源泉営業の方が給与水準は高いです。

源泉営業を主な営業手法として働く私の知人は、20代でも年収1,000万円を超えるケースは全く珍しくありません。

一方反響営業はどうかというと、源泉営業と比較した時にはやはり給与水準は低いと言えます。
※もちろん、中には圧倒的な成果を挙げ、源泉営業の方並み、またはそれ以上に稼がれている方もいらっしゃいます。


その理由はどこにあるのでしょうか。それは反響獲得のために広告費をかけるかどうかの差という単純な理由です。

源泉営業は、営業担当が自ら売りたい/買いたいというニーズを持ったお客様を開拓していくため、お客様を獲得するための単価はほぼ0円です。

しかし、反響営業は自らで開拓をしない分、反響を獲得するための広告費をかけているため、お客様を獲得するための単価が何万円とかかってきます。そうすると、営業担当に対して還元できる割合がどうしても低くなってしまうのです。
 

 

源泉営業と反響営業の違い:職種

不動産業界でもIT化が促進されているため、「源泉営業だからこの職種」と一概に言うことはできませんが、源泉営業、反響営業ではそれぞれどの職種が多いかを紹介致します。
 

■源泉営業が多い職種

◎仕入れ営業
仕入れ営業は基本的には自らの足で稼ぎ案件獲得することが多くなります。営業対象は法人、個人それぞれであり、法人向けの場合は地場や中小問わず、不動産業者向けに出向き、情報の獲得をします。

初めは名刺交換から始まり、徐々にお話ができるようになり、商談ができるようになり、、、というステップを踏むことも多いので、源泉営業を行いつつも常に新規のお客様にアプローチをかける営業とはまた違うでしょう。
 

個人向けの場合には、個人のご自宅に訪問し営業活動を行うか、空き地を見つけてその謄本を取得、記載の土地所有者に対して営業活動を行います。

個人向けの場合でも、1ヶ月全て新規開拓、、、ではなく、訪問のうち新規の割合が〇%で、既存の割合が〇%という形になっていくでしょう。


■反響営業が多い職種

◎仲介営業
買いたいと売りたい、貸したいと借りたい、を繋ぐ仲介営業においては、SUUMOやHome’sなどを代表としたポータルサイトを通じた集客や、その他WEB広告による集客、反響獲得とそれに対する営業活動を行うことが多いです。

また、店舗を持ち、買いたい方や借りたい方が店舗に来店してから商談がスタートする方法もあります。その土地独自の不動産会社などでは、Web広告などを打たなくとも店舗来店型で一定の売上を上げることも可能です。
 

■番外編:両者混合


◎販売営業
自社で開発した新築マンションや一戸建ての販売を行う販売営業においては、源泉営業と反響営業を混合で行うことが多くなります。

インターネットに掲載し反響を獲得し問い合わせに対して営業をするケースがベースにはあるものの、販売物件の近くでチラシ配りを行ったり、個人宅への営業を行うこともあります。


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反響営業は源泉営業と比較してきつい?きつくない?

冒頭にも記載をしたとおり、キャリア相談を受ける中で、『源泉営業が辛く、疲れたから反響営業ができる会社に転職をしたい』という相談が一定数あります。では源泉営業が辛く、反響営業は辛くないのでしょうか?私の実体験を交え、解説していきたいと思います。

 

源泉営業の大変さ

一般的にも『辛い、大変』というイメージが多い源泉営業ですが、何が一番辛く、大変なのでしょうか。

それはやはり、顧客の開拓です。

源泉営業として開拓する相手は、不動産について興味があるわけでも調べているわけでもない、全く不動産ニーズがない方です。そうすると、ランチ終わりでお腹が全く空いていない人にラーメンを販売する並みに人は話を聞いてくれません。

さらには、今まで全く面識のない方に対してお宅訪問や名簿リストに対してアプローチを掛けるため、不信感などから話を聞いてもらえないだけではなく、怪訝な顔をされることもあります。
 

そのため、源泉営業での顧客獲得は精神的に負荷がかかることも多いです。

また、ニーズが明確になっていないお客様に対してアプローチを行うため、話を聞いてもらえたとしてもその成約率は非常に低くなります。

新入社員は結果がなかなか出ない時期が続くこともあり、実績を出せない中で段々と『自分は何をしているのか・・』と考え退職をして行く同僚を過去に多く見てきました。

 

反響営業の大変さ

次に、源泉営業と比較すると『楽』なイメージを持っている方が多い反響営業はどのような点が大変なのでしょうか。そもそも反響営業は大変なのでしょうか。

結論からいうと、反響営業も大変です。反響営業で特に大変だと感じる部分は売り上げを作らなければ赤字になるという危機感です。

確かに、源泉営業で最も大変なパートである顧客開拓については、費用をかけて顧客を獲得してもらえる分なくなります。しかしその後の部分に対しては、源泉営業と比較してかなりシビアに見られます。

というのも、顧客獲得に対して費用をかけているため、もし売上が上がらない場合には、広告費分がマイナスになってしまうためです。

反響営業はお客様から来たお問合せに対してこちら側からお電話をかけますが、
「ただ資料が見たいだけなので」
「少し気になって問い合わせただけなので必要があればこちらから電話します」
といったように断られるケースも少なくありません。

例え上記のような検討段階が浅いお客様が多かったとしても、広告費をかけている事実は変わりませんので売上が上げられなければ会社全体の赤字です。

また、反響営業で獲得したお客様は成約しやすいのかと言ったら必ずしもYESではありません。

反響営業で獲得したお客様は、すでにニーズが明確になっているお客様であり、自社以外にも問い合わせをしているケースが殆どであるため、競合他社よりも高い営業力を求められることになります。


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結論、反響営業だから楽なわけではない

営業職種以外の職に就いている方とも沢山話しますが、やはり楽な仕事はないよなと思います。

慣れてくれば段々と仕事がしやすくなってくるのが一般的で、楽な仕事を探して転職すると、結局また大変な部分を見つけては転職を繰り返すことになります。

そのため、転職をする際にはイメージで楽な仕事を探すのではなく、自分が今の業務/会社の何が嫌なのかを洗い出し、じゃあそれがどうなったら自分は頑張れるのか、を考えた方が今後長く続けられる職場を見つけることができると思います。

企業によっては、基本的には反響営業を主な営業としているものの、同時に『反響を獲得するための営業活動』を営業担当が行うケースも少なくありません。

具体的には、販売する物件周辺のポスティング、最寄り駅におけるチラシ配布や街頭アンケート、さらにそれでも反響が取れず成果が上がらない場合には、源泉営業の場合と同様に既存の名簿リストにテレアポを行うこともあります。

そのため、営業手法だけで選ぶのではなく、社風やインセンティブの還元率、働くメンバーなど、他の部分に目を向けてみるのをおすすめ致します。


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