最近は様々な業界で起業する方が増えています。ニュースを見ても大学生で在学期間中に起業された方などが取り上げられていますね。近年では若い世代が起業している印象が目立ちますが、日本政策金融公庫が発表した「2019年度新規開業実態調査」によると、起業する際の年齢は40歳代が最も多く、次いで30歳代となっており、会社起業時の平均年齢は43.5歳と、日本政策金融公庫が1991年度に調査を開始して以来、最も高くなったそうです。

不動産業界も同じく、起業をする方は30代、40代が多く、20代で起業する方は少ない傾向にあります。ではなぜ30代、40代で起業する人が多いのでしょうか?よく言われる理由としては、起業にあたっての資金や経験、知識が20代だと足りないことが挙げられます。20代では経験を積み、知識を身につけ資金を用意し、30代以降で起業を決意するのでしょう。

今回は2番目に多い30代で大手不動産会社を起業した不動産セールスに、なぜ大手不動産会社から独立しようと考えたのか、起業を決めてから行ったことや必要なこと、そして不動産会社を起業するまでのステップを伺ってきましたのでご紹介致します。

 

なぜ大手不動産会社から独立しようと考えたのか


まず初めに、大手不動産会社から独立した人はなぜ独立しようと思ったのでしょうか?大手不動産会社であれば安定してお給料はもらえますし、なんだかんだで福利厚生なども整っている企業が多いです。そんな中でもなぜ企業に属するのではなく独立を選んだのか、そしてなぜ不動産業界で独立をしたのかについてご紹介致します。

もし同じように考えている方がいらっしゃいましたら是非独立を前向きに考えてみてください!

 

1.独立した方が稼げると感じたから


まず初めにご紹介したい大手不動産会社から独立を考えたきっかけは、会社に属さずとも、むしろ会社に属さない方が稼げると感じたからです。不動産営業職で働いている方はそのように思った経験が1回くらいはあるのではないでしょうか?

例えばご自身が投資用不動産営業として勤務しており数千万円の不動産を販売した際、会社にいくらの売上が入ってくるというのは分かっているけれども自分の手元にその額が満額入ってくるわけではなく、自分のお給料は決められたお給料+インセンティブ(手数料の何%)。自分のことを気に入ってくれてリピート購入をしてくれるものの自分自身の営業成果には反映されますがお給料は+インセンティブのみなことには変わりません。

それは大手不動産会社であればあるほどシステムを作る部署や人事部、それ以外にもまだ入社したばかりの新入社員などお金を生み出すわけではない社員の数も多くなり、固定費は高額になってきます。そうすると自分が生み出した売上は固定費に充てられるため会社を維持するためには売上が満額自身に入ってこないことは当たり前ですししょうがないことです。

しかし、不動産を販売すれば販売するほど「あれ?自分で不動産会社を設立してリピートしてくれるお客様やそのお客様から紹介してもらって不動産を販売した方が手数料は満額入るし稼げるのでは?」と思う機会がでてきます。そうして不動産を販売できるTOPセールスほど独立意欲が高まり独立をしていきます。

確かに何千万円の物件を販売し、手数料が満額もらえてお客様の紹介を獲得できれば3ヶ月に1件販売するだけで普通のお給料以上はもらえそうですね。自分の好きなように働けて普通の生活ができるのであれば大手不動産会社からでも独立する方の気持ちが分かります。

 

2.上が詰まっていると感じたから


次にご紹介したい大手不動産会社から独立を考えたきっかけは、上が詰まっていて自分が上にいけるのはかなり先、下手したら定年まで役職に就けないと感じたからです。ここで言う「上」とは役職のことを指します。現在特に役職がないけれどもリーダーは若くて、自分は同期の中で4番目の成績。不動産業界は実力主義の考え方ではありますが、イコール自分より成績がいい人がいると順番が回ってこない限り自分は上には上がれません。

そうやって考えていくと自分はいつになったら役職がもらえるんだろう。定年の人もなかなか居ないし成績を1位にするにも高い壁がある。それなら経験も積んだしある程度の知識もついたから独立しようと考え始めます。

20代前半でそう考えている方がもう少し待ちましょう。不動産業界は20代前半で転職する方も多いのでまだ役職を狙いに行くことができます。しかし、30代前半、後半になってきても役職に就ける気配がないのであれば独立を考え始めても良いかもしれません。

 

3.不動産営業を続けていくうちに不動産が好きになったから


最後にご紹介したい大手不動産会社から独立を考えたきっかけ、というより不動産業界で起業を決めたきっかけは、不動産営業として働いていくうちに不動産が好きになったからです。

不動産業界で働きたい!不動産が好き!と最初から考えて不動産業界に入ってくる人はごく一部です。しかし、悔しいことがあっても、辛いことがあっても不動産営業として働いていき、沢山の不動産を見てお客様に不動産の良い部分を紹介していくと、段々と不動産が好きになってきます。それは不動産でなくとも言えることで、続けていくことで知識が蓄えられ、もっと深いところまで知ることができ、そしてそれを好きになる。これから先続けていく仕事で、更に起業するとなれば酸いも甘いも経験することになります。そんな時好きなことを仕事にした方が頑張れませんか?

このようなきっかけがあり、大手不動産営業として働いていた方は、大手不動産会社から独立し、不動産業界で起業することに決めたそうです。

 

不動産業界で起業を決めてからの流れ


それでは次に、起業を決めてから実際になにを行ったのかについてご紹介致します。立ち上げる不動産会社を将来的には上場させたいのかそうではないのか、一人で始めるのか誰かと一緒に始めるのかなど、シチュエーションに寄って変わってくる部分はあると思いますので実際に起業をするとなった場合はこちらの記事もご覧ください。

外部リンク:宅建業スタートアップマニュアル

 

不動産業界で起業するまでの流れ①:宅建免許を取得


皆様、宅地建物取引士(以下、宅建)の資格はお持ちですか?不動産業界で起業するとなると必ず必要になってくるものが宅建です。不動産会社で社員として働いていた場合は自分以外の誰かが持ってくれていればいいや…となるケースもありますが、不動産会社を起業するとなると必ず必要になってきます。

宅建の合格率は15%前後となっており、勉強すればいずれは報われるだろうものの、かなり狭き門となっております。そのため、不動産業界で起業すると決めた年から勉強を開始し、受験を行うことをおすすめ致します。不動産業界で働いているからには宅建を持っていてマイナスに働くことはありませんので、起業をするのが10年後だとしても持っていて損はありません。むしろ宅建手当が30,000円もらえる不動産会社もありますので、是非今日から勉強を始めましょう!


関連するコラム:

宅建資格手当が最大3万円!?宅地建物取引士が年収UPに繋がる求人3選

【宅建取得を目指している方必見】宅建保有者が伝える宅建の独学勉強法


 

不動産業界で起業するまでの流れ②:資金の準備


こちらは不動産業界のどの職種で起業をするかにもよってきます。例えば、買取再販事業を行うのであれば買取ができるだけの資金が必要になってきますし、逆に売買仲介事業を行うのであれば資金はあまり必要ありません。

どの職種を選ぶかどうかとは別に必要になってくる資金は固定費となる事務所費用(宅建業の免許取得には事務所があることが必須)や電話費用が必要になってくる他、営業保証金が必要になってきます。こちらの金額は、全日本不動産協会に加入するかどうかで変わってきます。例えば、全日本不動産協会に加入しない場合は営業保証金として1,000万円が必要となります。しかし、全日本不動産協会に加入した場合は、この1,000万円は不用になり、その代わりに弁済業務保証金分担金として60万円を納めることになります。

営業保証金について

 

不動産業界で起業するまでの流れ③会社名登録や事務所の申請手続き


不動産業界で起業するまでの流れ①と②は今回ご紹介する不動産業界で起業するまでの流れ③の前に必要なことになってきます。最後にご紹介したい不動産業界で起業するまでの流れ③では、会社名を決定し登録、また事務所の申請手続きを行います。

会社名の決定は、特に大きな決まりはありません。公的機関名と似た名前はNGであったり、法令で禁止されている名前を除けば基本的に登録が可能です。

また、宅建業を開始するに当たって必要な事務所登録ですが、申請の台紙があり、建物の前景や事務所の入口、内部の写真などを撮影致します。こちらの写真撮影が意外と厳しく、何回も撮り直しをさせられることがあるそうです。(面談するスペースが確保されているかどうかなどがしっかりと写るようにしなければいけないため)

理由もなく却下されるということはありませんので、しっかりと基準に沿って写真を撮影しましょう。

 

不動産業界で起業するまでの流れ④人脈づくり ※大切


こちらは必須というわけではないのですが、今回話を聞く中でとても大事だと思ったポイントでした。

例えば起業を行うタイミング。こちらは時代の流れもあり、不動産業界自体が落ち込んでいる時に起業をしても、中々上手くいかず会社を閉業することに繋がってしまうこともあるかもしれません。もし不動産会社で働いている人との繋がりがあれば、「今はやめた方が良いのでは?」「こういうコンセプトでいけば競合との差が出てきていいのでは?」といったアドバイスがもらえるかもしれません。

また、不動産会社を設立した後に、最初はお客様を獲得することが中々できないかもしれません。そんな時に人脈があれば、知り合いが知り合いを呼び、広告費をかけずに売り上げを立てることができます。また、良い案件があったときに回してくれる人もいるかもしれません。

もちろん人脈がない場合でも起業はできますが、人脈があってマイナスになることはないでしょう。そのために起業を決めてからは是非色々な人との出会いを大切にして頂ければ幸いです。


その他、もし6名以上で会社を設立する場合には、宅建業法の内容に沿って宅建士をもう1人採用しなければいけないなど細々したことはありますが、上記のような流れで不動産業界で起業を行うことができます。

 

最後に


最後までご覧くださりありがとうございました。こちらの記事をご覧になった方は少なからず不動産業界での起業をご検討されている方なのではないでしょうか。

既に起業を視野に入れており、ご経験や知識をお持ちの方は是非起業に向けて頑張ってください!逆に、自分には経験や知識が不足している…とお考えの場合は、独立を応援してくれる不動産会社などもございますので、一度当社のキャリアパートナーに相談してみて下さい!


不動産業界特化のキャリアパートナーに相談する