宅建士の資格は不動産業においては非常に重要な資格となりますが、資格取得後、不動産以外の仕事に役立てることはできるのでしょうか。
ここでは、宅建士資格の強みやメリットをお伝えすると共に、宅建士資格を不動産以外で活かせる仕事についてご紹介します。

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宅建士資格の強み

資格にもいろいろな資格がありますが、それらのうち、宅建士資格はどのような強みがあるのでしょうか。

ここでは、宅建士資格の強みについて以下の通りご紹介します。
  • 不動産契約時の独占業務がある
  • 宅地建物取引業者には設置義務がある
  • 勤め先に資格手当があるケースがある
それぞれ見ていきましょう。

 

不動産契約時の独占業務がある

不動産取引は大きなお金が動くこともあり、契約時には宅建士が説明等行う必要があります。
この業務は、宅建士の独占業務であり、具体的には以下3点が挙げられます。
  • 重要事項の説明
  • 重要事項説明書への記名・押印
  • 契約書への記名・押印

不動産契約時には、不動産取引に関する重要事項の説明を行う必要があります。

この重要事項説明書は、宅建士の記名・押印が必要であり、宅建士が内容の説明を行わなければなりません。

また、重要事項説明後に交付する契約書にも宅建士の記名・押印が必要となります。

 

宅地建物取引業者には設置義務がある

宅地建物取引業を営む場合、以下の要件を満たすよう、宅建士を設置しなければなりません。
  • 事務所の場合、業務に従事する者の5人に1人以上
  • 事務所以外の場所の場合、1名以上
  • 上記宅建士は「成年」かつ「専任」である必要がある
このため、宅地建物取引業を営む企業にとって、宅建士の資格保有者は重要な存在となるのです。

 

勤め先に資格手当があるケースがある

宅建士資格を取得することで、勤め先によっては資格手当を貰えるケースがあります。

資格手当の内容については、資格取得時に一括で貰えたり、毎月定額を貰えたりなどさまざまでしょう。

資格手当の内容については公表されているケースも多いため、人事などに確認するのがおすすめです。

 

宅建士資格は不動産業への転職で役に立つ?

宅建士資格取得は不動産業への転職活動で役に立つのでしょうか。
この点、宅建士資格は知名度が高い資格で、国土交通省の調査によると2021年度末時点で112万6595人の人が資格を取得しています。

反対に、宅建業者の数は減少傾向であり、需要に対して供給が多くなってしまっている状況だといえるでしょう。
上記点から、宅建士資格を保有しているからといって、即採用につながることは少ないと感じられます。

一方、宅建業者には宅建士の設置義務があり、また契約時の独占業務があります。
また、宅建士の資格取得を通して不動産に関する基礎的な知識を身に付けられるため、この点でも評価にはつながりやすいでしょう。

こうしたことから、宅建士の資格を取得することでプラスになる点もあるでしょう。

ただし、宅建士の資格取得はそう簡単なものではありません。
転職のために資格取得を考えているという方は、先に転職してから資格取得を考える方がメリットは大きいといえます。

以下では、宅建士の資格取得が役に立つのか、立たないのかという視点で解説しています。
>>宅建資格を取得しても約に立たない?理由や取得するメリットなど解説

 

宅建士資格を不動産以外で活かせる仕事

宅建士の資格取得は不動産業以外で活かすことができるのでしょうか。
ここでは、宅建士の資格を取得することで資格を活かせる業界について、不動産業以外のものをご紹介します。

具体的には、以下の4つです。
  • 金融業
  • 建設業
  • 保険業
  • 士業
それぞれ見ていきましょう。

 

金融業

金融機関の中でも、銀行などでは不動産について取り扱う機会が多いです。

例えば、住宅ローンを組んだり、企業が不動産担保ローンを組んだりするような場合は、不動産に関する知識があると役立つでしょう。
場合によっては、担保になる不動産を直接紹介するケースもあります。

なお、信託銀行は、普通の銀行と比べて不動産を取引する機会が多いですが、宅建業の許可なく不動産の取引をすることができると定められています。

 

建設業

ハウスメーカーやディベロッパーなどの建設業は、建物を建てるのが仕事です。

しかし、建物を建てるには土地がなくてはならないケースがほとんどです。
こうしたことから、自社で宅建業の免許を取得して土地の取引を行うケースもあるでしょう。

また、建売住宅やマンションなど完成物件を販売する場合は、不動産を販売することになるため、宅建業の免許が必要になります。

 

保険業

生命保険など販売する会社であれば、個人の顧客に対してライフプランニングを行う機会は多いものです。
そうしたときに、住宅ローンに関する説明など、不動産を取り扱うこともあります。

また、対法人で保険商品を提供する場合であっても、企業資産の中で不動産の占める割合は大きく、遊休不動産の活用など行うこともあります。

そうしたケースで、宅建士の資格を取得していると顧客の信頼獲得につながりやすくなるでしょう。

 

士業

行政書士や司法書士など士業で独立している方など、宅建士とダブルライセンスを取得すると役立つケースがあります。
特に司法書士の場合は不動産の登記を扱うケースが多く、宅建士を取得していると役立つことも多いといえます。

 

転職のために宅建資格を取得するメリット

不動産業での宅建資格取得と併せて、不動産業以外で宅建資格を役立てられる業界についてご紹介しました。
ここでは改めて、転職のために宅建資格を取得するメリットについて見ていきましょう。

具体的には以下の3つです。
  • 努力を継続できる証明になる
  • 年収アップにつながるケースがある
  • 転職後に安定しやすい
それぞれ見ていきましょう。

 

努力を継続できる証明になる

宅建士資格は民法や建築関連の法律、宅建業法などさまざまな分野について学習しなければ資格取得できません。
基本的には、3ヶ月~半年程度は学習を継続する必要があるでしょう。
このことから、宅建士の資格を取得しているということは、目標を持って一定期間努力を継続できる証明となります。

 

年収アップにつながるケースがある

宅建士の資格を保有していることで、資格手当を受けられるケースがあります。
具体的な資格手当の内容は会社により異なりますが、金融機関など、不動産業以外でも宅建士の資格取得に対して資格手当を設けていることもあるでしょう

 

転職後に安定しやすい

転職した後、不幸にも勤め先がリストラなど考えなければならなくなったとしましょう。
そうしたケースで、業績などが同じくらいの同僚がいた場合、宅建士を取得している人とそうでない人とでは、資格を取得している人が残りやすくなる可能性は高いです。
これは、特に不動産業においては設置義務があることから、上記のような判断がされる可能性が高いといえます。

 

宅建士とのダブルライセンスがおすすめの資格

最後に、宅建士とのダブルライセンスがおすすめの資格についてご紹介します。

ここでご紹介するのは以下の5点です。
  • 管理業務主任者
  • マンション管理士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • ファイナンシャルプランナー
それぞれ見ていきましょう。
 

管理業務主任者

管理業務主任者はマンション管理において、管理委託を行う際の契約において、重要事項の説明など行う資格です。

管理業務主任者の資格試験の内容は、宅建士資格と被る部分が多く、先に宅建士を取得していると、管理業務主任者資格の学習を進めやすくなるでしょう。

また、不動産業界でマンション管理を行う企業に転職したり、地震で管理業務主任者として独立したりするケースでも、宅建士の資格を取得していることで役立つことは多いでしょう。
 

マンション管理士

マンション管理士はマンションにおける管理組合の運営を行ったり、管理組合や管理者等をサポート・アドバイスしたりする資格です。

マンション管理士についても、学習内容が宅建士資格と被る部分が多く、先に宅建士を取得していると学習を進めやすくなるという特徴があります。

 

賃貸不動産経営管理士

賃貸不動産経営管理士は、賃貸物件の管理において、一定の知識を持っていることを証明する資格です。

賃貸不動産経営管理士は毎年の資格試験合格率が70%程度で推移しており、そこまで取得が難しい資格ではありません。

賃貸業に取り組む不動産会社等で役立てられる資格のため、宅建士との相性は良いといえるでしょう。

 

行政書士

行政書士は官公署に提出する書類などの書類提出や許認可申請の代理などを行う資格です。

なお、官公署に提出する書類などの作成代理は行政書士の独占業務となっています。

宅建士と行政書士とでは、仕事の面で大きな相乗効果は見込めないこともあるでしょう。

しかし、宅建士は法律系資格の登竜門と言われており、行政書士の資格取得前に宅建士の資格を取得するという方も多いです。

場合によっては、宅建業と行政書士の両方を開業するといったことも考えられるでしょう。

 

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーは、お金の相談などに乗る資格者です。

金融機関や保険会社、不動産会社など資格を活かせる範囲は大きいといえます。

ファイナンシャルプランナーの資格取得試験では、大きく6つあるテーマのうちの一つが不動産となっており、宅建士の資格取得を通して得られた知識を活かせることができます。

また、業務においても、宅建士とフィナンシャルプランナーを取得していると、「お金に強い不動産業者」、「不動産に強いファイナンシャルプランナー」といった特徴付けが可能となるでしょう。

 

宅建士を不動産以外で活かせる仕事に関するよくある質問

最後に、宅建士を不動産以外で活かせる仕事に関するよくある質問をご紹介します。

 

宅建士の資格取得で金融業界への転職は有利になる?

金融業界への転職において、宅建士の資格を取得していることが有利に働くことはそう多くないでしょう。
もちろん、不動産業界への勤務経験があり、そのうえで宅建士の資格を取得しているといった場合、転職に有利に働くケースはあります。

その場合、どちらかというと不動産業界への勤務経験が、金融業界での業務に活かせると判断されていることが多いでしょう。

宅建士の資格を取得していて、金融業界に就職したいと考えている方は、一度不動産業界で経験を積んでから、金融業界への転職を考えることも一つの方法です。

 

宅建を活かせるバイトはある?

宅建資格を取得していることを活かせるバイトとしては、宅建事務不動産の案内業務などが挙げられるでしょう。

不動産業界が未経験で、まずは不動産会社の仕事がどういった内容なのか知りたいといった方や、昔子育て中の方などにおすすめの働き方です。

将来的には正社員に採用される可能性もあります。

 

女性が宅建士を活かして転職する際のおすすめの就職先は?

女性が宅建士の資格を活かして転職する際のおすすめの就職先としては、不動産事務や不動産の案内業務などが挙げられます。

アルバイトやパートであれば、子育て中の方や短時間で働きたい方などにもおすすめです。

一方で、宅建士を取得していれば宅建士としての採用も期待しやすいでしょう。

 

まとめ

宅建士の資格について、資格取得のメリットや不動産業以外で活かせる業界などお伝えしました。

宅建士の資格は知名度が高く、また不動産はさまざまな分野で取り扱われるものです。

資格を取得しておくことで、転職時に有利になったり、また転職後に安定しやすくなったりとメリットがあるでしょう。

一方で、宅建士の資格取得はそう簡単にできるものではありません。

宅建士の資格を取得していれば、転職時にかなり有利になるというケースはそう多くはありません。

転職を見越して宅建士の資格取得を考えているという方は、先に転職した方がよいケースも多いといえるでしょう。

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