不動産業の転職を考えている方は「宅地建物取引士(以下宅建)」の資格を持っていると転職に有利だと聞いたことはあるのではないでしょうか。
実際に不動産業界特化型転職エージェント『リアルエステートWORKS』を利用して転職活動を行う方の中にも、「ステップアップ転職するために宅建を取得しておきました!」という方がいらっしゃいます。
宅建がなければ不動産業界で転職ができないか、と言われたらそうではありません。宅建がなくても上に上り詰める方は沢山いらっしゃいます。
しかし、転職時において宅建を持っていることで有利に働くことがあるのも確かです。
今回は、なぜ宅建を持っていると不動産業界で転職するにあたって有利になるのかを解説致します。
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土地建物を扱う「不動産業」の形態とは
一般的に不動産業でいう「不動産」とは「土地と建物」のことです。
土地建物を扱う業種を「不動産業」といいます。不動産業にはいろいろな種類があります。
例えば良く聞く不動産業であれば下記などが挙げられるかと思います。
①賃貸仲介業
②売買仲介業
③不動産管理業
④不動産デベロッパー業
⑤不動産コンサルティング業
自分の持っている土地や建物を貸す、いわゆる「大家業」も一定規模以上だと「不動産業」としてみなされるケースもあります。
しかしながら不動産業をしているからといって「宅地建物取引業」
いわゆる「宅建業」として扱われないケースもあります。
「不動産業」と「宅建業」の違いとは
宅建業とは不動産業の中でも「土地」や「建物」の売買や仲介といった取引を取り扱う形態の業種です。
住まいの売却や購入にあたっては「宅建業」として扱われます。
宅地建物取引業(=宅建業)とは。
(1)自らが行う宅地や建物の売買や交換
(2)売買や交換・賃貸をするときの代理や媒介
を「業」として行うものをいいます。
そのため、大家業をしていても宅建業を行っているわけではありません。
大家仲間の物件を斡旋したりすると「宅建業」となる場合があります。
「宅建業」と「宅地建物取引士」との関係性
「宅建業」を営むには専任の「宅地建物取引士」を従業員5人に対して1人置かなくてはならないという設置義務があります。
経営をしている「社長」が宅地建物取引士であることは必要なく、正社員の「宅地建物取引士」を雇うことでその要件が満たされてしまいます。
もちろん、経営者が宅地建物取引士であれば新しく専門的知識を持った人を雇う必要はありません。
こういった理由からハローワーク求人で宅建業を営む会社には「宅地建物取引士」必須のような応募条件が提示されることが多いです。
「宅建業」以外でも「宅地建物取引士」の資格は就職に役立つ
銀行や信用金庫などの金融機関への就職、特に中途採用では「ファイナンシャルプランナー」や「宅地建物取引士」の資格を持っているかどうかが採用の基準になります。そもそも、ファイナンシャルプランナーの資格取得には宅地建物取引士の知識が生かされます。
金融機関の仕事の多くは「お金」を貸すことです。
また、金融機関は多額のお金をタダでは貸すことはありません。
多くは人質ならぬ「モノ質」、いわゆる「担保」を付けてもし返せなかったら「モノ」を没収することによりお金が返せなかった時の備えをしています。
土地や建物といった「不動産」を担保にすることが多いことから金融機関で働くには「不動産」のありとあらゆる知識が必要になってきます。
ちなみにJAなどの農協も不動産の仲介業をやっていたりします。
というのも、農業をしている方は広大な農地を持っているので農業を縮小するときに融資先のJAに相談をしたりするのでJAの中には不動産業をやっているケースもあります。他にコンサルティング会社や会計事務所などの就職にも有利に働きます。特に不動産業で働いた経験+宅地建物取引士の資格は大いに就職に発揮します。
また、最近は不動産業以外の業種の会社例えば建築業や保険会社など多くの顧客を抱える業種が「不動産業」に参入するために不動産業経験者でかつ宅地建物取引士を持つ人を探しているケースはかなり多いです。事業責任者になれるチャンスもあるので就職にはお勧めの資格だといえます。
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宅建が転職で有利になる理由
それではここからは、宅建士が不動産業界での転職で有利になる理由をご紹介致します。
1.事業拡大にあたり宅建士の増員が必要だから
先程も紹介したように宅建業法では宅地建物取引士の設置が法律として定められています。そのため、法律として従業員を増員するのであれば宅建士を採用しなければいけません。
※(宅地建物取引士の設置)第三十一条の三
事業拡大のフェーズにある企業が、採用を強化するけれども宅建を持っていない人材ばかりを採用してしまうと宅地建物取引士の設置において条件を満たさない状況が出てきてしまいます。
そのため、宅建を持っていることが転職で有利になってくるのです。
当社に問い合わせてくる企業様の中には、「現在別の事業を行っているけれども、当たらに不動産事業を立ち上げたいので宅建士を採用したい」という声もございますので、宅建を保有していることで転職が有利になるでしょう。
2.宅建士しかできない仕事があるため
不動産の契約における重要事項説明を行えるのは宅建士のみと決まっております。
重要事項が書かれた書面のことを、「重要事項説明書(35条書面)」といい、重要事項説明書には宅建士の記名・押印が必要となるため、説明のみならず作成も宅建士のみしかできません。
そうすると宅建を持っていない営業担当者はどうするのか。
営業担当はお客様から申込を頂くまでを行い、契約をする際には宅建士に引き継がなければいけないのです。不動産会社によっては完璧に営業担当と契約担当を分けておりますが、分けていない不動産会社も多くあるためそうすると一人ですべての業務を行える宅建保有者は重宝されます。
そのため営業担当と契約担当が分かれておらず、宅建士の数が足りていない企業では転職時に宅建保有がかなり有利に働きます。
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3.不動産業界の知識があると判断できるため
不動産の取引においては難しい言葉や内容が多く出てきますので、知識がないことで騙されてしまうことや、知識がないことで仕事が完了するまでのスピードに違いが出ることがあります。
ただし、書類選考時や面接時には不動産業界の知識があるかどうかをしっかりと見極めることが難しくなります。
そのため、知識があるかどうかを見極められるポイントの一つが宅建となるのです。
また、宅建は一般的に300時間~500時間の勉強が必要となり、そして合格率は15%前後とかなり狭き門です。
平均して400時間と考えると、半年間毎日1日2時間の勉強が必要になります。これを社会人になってから取得した場合は働きながら行うのです。
宅建取得の難しさを知っている不動産会社の方は多いので、「宅建を取得している=コツコツと頑張れる人」、続けられる人という印象を持ち、そうすると入社してからも頑張ってくれるだろうという発想になりやすいため転職時に有利になることがあります。
宅建が転職で有利になることを確証するかのように、不動産会社によっては宅建資格手当が毎月3万円も貰える会社がございます。
年間にすると36万円。年収と別に36万円払ってでも宅建士が欲しいということでもありますね!
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「宅地建物取引士」の仕事とは
宅地建物取引士を持っている人しかできないことが3つあります。
① 不動産取引の際の重要事項の説明
② 重要事項説明書への記名押印
③ 37条書面への記名押印(いわゆる契約書)
宅地建物取引の上で重要な仕事となっており、また、専門の知識がある人でないとできない仕事になってきます。
宅地建物取引は大きなお金が動きます。下手をすれば人生を左右する仕事です。
責任がある仕事ですからもちろんやりがいはかなりありますが、それと同時に失敗は許されない仕事になってきます。そのため、企業によっては宅建を持っている人に対して資格手当を支給されることもあれば、宅地建物取引士しかできない仕事を1回行うごとに手当をもらえることもあります。
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「宅地建物取引士」の試験とは
まず、不動産業界未経験の方が自分で勉強をして「宅地建物取引士」の資格を取ることは、ハードルが高いかもしれません。法学部出身の方や、建築業や金融業で勤務している方が受験するのは有利になるかもしれませんが。
実際不動産業界を知らない方が「宅地建物取引士」の資格取得に10年以上かかった人もいるぐらいです。
宅地建物取引士の合格率は15パーセントくらいです。そして合格ラインは50問中(満点50点)35点から40点の間だといわれています。
その年の難易度によって変わってきます。
不動産業界未経験の方だと専門学校で半年から1年の受講をお勧めします。
ある程度イメージがついてから実際の対策をやっていくのが一番です。
なお、現在不動産業にお勤めしていて「従業者証明書」を持っていれば5点免除を受けることができます。
ただ、5点免除を受けるには国土交通大臣が指定する講習を受講して「登録講習修了者証明書」を交付してもらう必要があります。
いわゆる「宅建登録講習」と言われ日建学院などの複数の資格の専門学校で受講できます。その代わり、宅地建物取引士の試験時間2時間のうち10分短縮された上で合格ラインが5点引き下げられるのでその分野が得意な人にとっては不利となってきます。
また、講習にはお金もかかります。まずはその分野が自分にとって優位かどうかを把握したうえで講習をうけるのをうけるのがベストです。
ちなみに免除されるのは
☆住宅金融支援機構法
☆景品表示法
☆統計に関する問題
☆土地に関する問題
☆建物に関する問題
です。
5.宅地建物取引士の試験勉強は
試験科目は大きくわけて4つあります。
① 権利関係 14問
② 法令上の制限 8問
③ 宅地建物取引業法 20問
④ その他法令 8問
50問中8割とれれば合格ラインに入ります。
ただ、難易度にムラがある科目とない科目があります。難易度が安定しているのは③の宅地建物取引業法です。宅地建物取引業法の知識をしっかりと覚えれば点数につながるはずです。
なお、④のその他法令や②の法令上の制限については建築業経験者になじみやすい科目とも言えます。
受験生を悩ます科目として①の権利関係の科目が多いようです。権利関係は民法と不動産登記にかかる問題が主な内容です。びっくりするくらい難しい問題が出てくる場合もあるので苦手意識がついてしまった方は専門学校へ通うことをお勧めします。
宅地建物取引士取得には転職に有利
宅地建物取引士試験を合格すればやはり道は開けます。未経験でも資格があれば雇ってくれるのが不動産業界の良いところです。
宅地建物取引士受験の際に勉強した専門知識も生かされてきます。総務や経理などの管理的仕事に就く人でも総合不動産業者では宅地建物取引士の資格を持っていれば就職に有利に働くケースもあります。
ただ、やはり営業経験があり、かつ宅地建物取引士の資格を取得していると宅地建物取引士の実務に関われるのでご自身のキャリアアップのためにも営業経験が少しでもあるとよいのかなぁと思います。
宅地建物取引士の勉強は多少大変ですが要領をつかめば一発合格できます。合格めざして今から勉強を始めましょう。