「将来独立をしたい。このまま今の会社で不動産営業として働いていてもいいのだろうか?」
「不動産業界で独立するためにはどうすればいいの?」

不動産業界での独立・起業を目指す場合、不動産営業ではどのようにキャリアを積みステップアップしていけばいいのか気になる方もいると思います。

不動産会社はその企業により主とする業務が異なるために、必ずしも不動産業界で皆が同じようなキャリアの積み重ねをするわけではありません。
しかし基本的に営業職では、「賃貸仲介から始まり~売買仲介~土地建物販売」というキャリアアップの流れだと私は考えています。

本記事では、中小企業で新卒から複数年経験を積み営業の仕方を覚え、現在は不動産独立することができた宅建建物取引士である私の独立までの流れをご紹介致します。

不動産業界で独立をご検討されている方は参考にしてみてください。

※不動産業界での独立に必要な資金や方法についてはこちらの記事をご覧下さい。
不動産業で独立は難しい?失敗しないコツや必要な手続きを解説!
不動産業は独立しやすい?理由や独立手続きの流れ・必要な資金など解説



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独立したい方にはまず賃貸仲介営業がおすすめ

もともと学生時代から「いつか独立したい」とは考えていたのですが、どの業界で?何歳くらいに?などはまだ明確に決まっていませんでした。
そんな私は新卒で不動産会社に入社し、まずは賃貸仲介営業の業務を行います。

今になって思うことですが、この選択は間違っていなかったと思います。賃貸仲介営業は、不動産営業及び不動産業務を学ぶ基礎として最適な環境でした。

もしまだ学生の方や社会人歴が浅い方で、いつか独立したいけどまだ何がしたいか分からず迷っている…という方には是非賃貸仲介営業をおすすめします。

というのも、賃貸仲介営業では、社会人としての基礎的なマナーや不動産に関わる基本的な業務を覚えるのに良い環境だったからです。

賃貸仲介営業のあとに売買仲介営業や土地建物販売業務も行ってきて思うことですが、売買仲介営業や土地販売などをいきなり始めてしまうと、取り扱う額も大きく、かつお客様の属性も高いため、賃貸仲介営業よりも精神的なストレスを強く感じるでしょう。

そのトラウマから不動産営業自体を敬遠してしまったり、不動産営業が楽しいと思えなくなってしまうのでは?という懸念点があります。

そうすると独立後に必要な「営業」部分を避けてしまうようになりかねませんので、まずは賃貸仲介営業で不動産業界のベース部分や流れをつかむことで、後に売買仲介や土地などの取扱額が大きなものを販売できるようになっても楽しく営業を行うことができるでしょう。

そのほか、今思い返したときに私が賃貸仲介営業をおすすめする理由をご紹介します。

 

若いときに成功体験を積める

不動産売買や土地の仕入れなど、価格帯が高額なものは基本的にはすぐ結果は付いてきません。1年間の仕入れ目標が2件の場合、半年に1回しか契約というイベントがないのです。

人に感謝されることや申込が取れた時に達成感を感じる方も多くいらっしゃいますので、その回数が少なければ少ないほどやりがいを感じる頻度が少なくなってきてしまうでしょう。

また、成功体験を積むことで自分に自信がついてきます。その自信がお客様にも伝わり、立派な営業として成長していきますが、成功体験が積めない場合は自分のやり方があっているのか、自分はできない人間なのではないかとマイナスの考えをしてしまうため自信がついてきません。

そういう意味でも、まずは取扱額の小さな商材から始めることで自分の営業力に自信を持つことができます。その自信が身に着いた状態で取扱額の大きな商材を販売していけば、自信が確信に変わりますし、大きな額を動かしているという部分にやりがいを感じてくるでしょう。

 

キャリアについて悩んでいる方はまずは賃貸仲介営業がおすすめ

私の経験にはなりますが、賃貸仲介営業で基本的な業務を覚えて下積みをし、契約件数をこなしながら成功体験を積んでいったり営業の楽しさを覚えた上で、取り扱う金額を上げ、スキルのステップアップをしていくという流れが良いと考えています。

賃貸仲介営業を経験しておくと、収益不動産の売買や売主との折衝などの能力が自然と身につきますし、管理部門などへ配属になっても潰しが効くようになっているでしょう。

そのため、独立を考えているけれども最初の1歩をどうしようか悩んでいる方はまずは賃貸仲介営業をおすすめ致します。

 

不動産業界で独立するために学ぶべきこと

次に、私が不動産業界で独立するために賃貸仲介営業時代に学んだことをお伝えします。

 

社会人としてのマナー、不動産の基礎を覚える

私は新入社員として入社したので、社会人経験がなく何もできない状態でした。
電話の対応方法もメールのマナーも、名刺の渡し方からわからない若者でしたので、まずは基礎的なことを覚えていきました。

・電話対応、メールのマナー、名刺の渡し方
・車の運転(町に慣れる、駅を覚える)
・物件の写真撮り、不動産サイトへの物件登録(HOME’S/SUUMO等)
・業界用語を覚える
・住宅の設備や間取りの見方を覚える
・その他、社内ルールなど

賃貸仲介営業は、店舗運営の一員として行うことが多いので、基本的に上長に店長が存在します。
店長は店舗運営の責任者ですので、ルールやマナーを教えてくれますし、最初の頃は仕事に関して指示を行ってくれます。

しかし、営業職たるもの受け身ではいけませんので、休日に町を散歩して学校の場所やスーパーの場所を覚えたり、物件を1つでも多く内見し覚えていく姿勢が大事です。

 

お客様の集客方法を覚える

最初の頃は、来店する成約しやすいお客様はトップ営業の先輩や店長が接客を行うので、新人のうちは自分で集客したお客様を接客することが多いです。(店舗によると思いますが・・・)

集客には、以前ご来店いただいたけれども成約にならなかった方に対して再度ご連絡をしたり、ご成約いただいた方に紹介をしてもらったりなどいくつかの方法がございます。

少しチャレンジして集客できなかったらから自分は向いていない。ではなく、数を打つことが成果に繋がる業務ですので、まずは数をこなすことを考えながら行いましょう。人によって「やりきった」と感じる数は違うと思いますので、「目標の1.5倍」または「同期が行っている平均の1.5倍」を目指すと良いでしょう。

人より多くやったという達成感や事実は、自分への自信にも繋がりますし、その行動は成果につながっていきます。

そうして数をこなしていき、成果を出せるようになってきたら、次はどれだけ少ない時間で集客ができるようになるかという質の部分を考える方が効率的です。

また、お部屋探しのお客様の集客は、後に売買のお客様を集客する際の基礎となります。売買の場合は、呼び込みさえも上司に取られてしまいまうことがありますので、賃貸仲介営業のときにしっかりと基礎を磨き、集客ができるようにしておきましょう。

集客がなければなにも始りませんので、集客は業務として重要ですし、やはり集客が上手な人は成績上位として表彰させる方が多いです。

 

新規接客・追客方法を覚える

賃貸仲介営業ではとにかく接客の数をこなしましょう。
なぜなら一番の成長のコツは、「慣れ」と「自分の営業スタイル」を確立することだからです。

基本的に接客のマニュアルは存在しません。もちろん最初はトップ営業などを真似ていくことで基本を身につけていきますが、トップ営業と同じことをしても同じように成果が上がらないのが不動産営業です。

数をこなして「自分の営業スタイル」を確立させましょう。後に売買営業を行う際も、自分のスタイルが大事になります。

集客の面でも言えることですが、数をこなす際に、本当にただ数をこなすだけでは成長できません。
・初回はどのようなアプローチを行ったのか
・相手はどのような反応だったのか
・そのとき自分の対応がどうだったら良かったと思うか
・一度で決まらなかったお客様には次回どのように成約に結びつけていくのか

など、自分が行う行動に理由をもち、そしてその行動に対しての振り返りを行うようにしましょう。

そして1回目は10あるステップのうち2ステップ目で落ちてしまったのであれば2ステップ目の行動を見直し、2ステップ目は8割以上の方でクリア出来るようにしたら次に進んでいくようにしましょう。

 

書類の作成方法などを覚える

営業の経験を積んでいくのと並行し、契約書類や重要事項説明書類などの作成ができるようになりましょう。また、宅地建物取引士の資格をお持ちであれば、重要事項説明などを行えるように業務の幅を広げていくことが重要です。

売買仲介営業を行うようになると、書類作成などもほぼすべて自分で行います。賃貸仲介営業のときにこちらも数をこなしスムーズに業務が行えるようにしましょう。

少し余談ですが、宅建資格は余裕があれば賃貸仲介営業時代に取得しておくことがおすすめです。「賃貸仲介営業時代」というよりかは、1社目で取得しておくことがおすすめです。

理由はいくつかあるのですが、今回は2つをメインでご紹介致します。

理由①:転職する際に選択肢の幅を狭めないため
独立を目指した場合、宅建取得は必須です(正確には宅建士を採用すれば必須ではない)。けれども独立する前に取っておけばいいというのも間違いではありません。

ただ、1社目から2社目に転職する際に、宅建を持っている人と持っていない人では選択肢の幅が違います。

もし自分自身がステップアップ転職する際に、この企業めっちゃいい!という企業があったとして、その企業の必須条件が宅建保有者だった場合、宅建は1年に1回しかないので、最長1年以上転職の時期を遅らせなければいけなくなります。

もしくはめっちゃいいと思った企業を諦めるかのどちらかです。

そうした状況にならないためにも、転職を視野に入れているのであれば早い段階で宅建取得をおすすめいたします。


理由②:勉強する時間がなくなってくるため
不動産業界で働き始めて3年目、4年目になってくると自分のことだけでなく、後輩に仕事を教えたり、TOP営業になっていた場合には日々のお客様対応でかなり忙しくなります。

入社したては勉強することが仕事でもありますので、勉強ができるうちに資格取得を目指すことがおすすめです。

また、宅建の勉強で学んだことは仕事に活きることが必ずあります。特になることはあっても損になることはありませんので、是非1社目、かつ入社後に少し落ち着いてきたら宅建の勉強を開始することをおすすめ致します。

宅建に関する記事:
不動産業界特化型転職エージェントが解説!宅建は転職において有利になるのか
不動産業界で働く宅建士の年収は宅建を持っていない人よりも高いのか

 

不動産業界で独立するために、店舗責任者(店長)として経験を積む

私の場合、賃貸仲介営業を3年ほど経験した後、店舗責任者(店長)としてステップアップしました。店舗責任者となることで、お客様の接客のみならず他の様々な業務を学ぶことができます。

下記に店舗責任者として働く中で学んだことをまとめます。

 

店舗運営を学び、売上管理を行う

店舗運営や売上管理は、今後のキャリアアップには重要な業務です。

店舗運営をすることで、マネジメントやスケジュール管理を嫌でも行わなければいけないので、営業としてのスキルが一気に上昇します。
またクレーム対応を行う責任者となることで、取り扱う法律にも強くなります。

店舗責任者となることで、自社物件のプロパティ(管理運営)やリーシング(入居付け)などにも意識がいき不動産により精通するようになります。

売買仲介に挑戦する前に、店舗責任者のポストが空いていれば積極的に行うことを推奨します。
会社運営の一部でもあるため、不動産業で独立する際にもこの経験が生きてくるでしょう。

 

人脈を一気に増加させる

店舗責任者となることで、地域の大家さんや管理物件のオーナー様と会うことが増えます。また、地域の主要な不動産業者との折衝なども増えてきますので、人脈が一気に広がります。

この人脈は、売買仲介営業に転職した際の「最初の商談相手」になる可能性が大きいです。
ぜひ積極的に人脈を広げていきましょう。


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不動産業界で独立するために、売買仲介営業でキャリアを飛躍させる

私の場合、賃貸仲介営業と店舗責任者を経験したことで、下積みがある状態で売買仲介営業に進むことができました。

私が勤めていた不動産会社は、収益不動産の売買仲介・新築マンションの企画販売が売上のほとんどを占める花形の部署であったので、営業としては順調にキャリアを積んだのではないかなと思っています。

5~6年を賃貸仲介営業と店舗運営を経験したので、売買仲介営業を始める際も「知識・人脈・自信」がある状態だったことは、大きな人生の糧となりました。
個人で独立した現在も、その経験は活きていると思っております。

ぜひ皆様も不動産の花形を目指してみてください。

 

住宅ローン、投資用不動産ローンについて知る

売買仲介営業では、取り扱う価格が高額になります。
今まで触れてこなかった金融関係や税金関係の知識をしっかりと学ぶことが重要です。

不動産を売り買いするお客様と接するときは、お金について知識があることが大前提になります。
できれば、不動産投資に関する書籍などで個人的に勉強をしておくことを推奨します。

 

売買契約書、重要事項説明書の内容を理解し知識を深める

売買契約書は賃貸借契約書と比較し、契約条項の内容が事細かで複雑です。

現地の道路関係や水道管、または法律に関する条項がかなり専門的になっております。
宅地建物取引士の方は、勉強してきているので理解しやすいかと思いますが、実務となるとそれ以上に専門的で正確な情報でなければいけません。

一見、机上の知識だと思われますが、これらを深く知ることは営業にも活きてきます。
苦手でも克服し、自分の知識にしていくことがキャリアアップに繋がりますので、しっかりと学ぶ姿勢でいることが重要です。

ちなみに、売買営業の上司でも、契約関係書類などが雑な人もいます。
また、だらしのない業者や不備の多い契約書なども多くあります。自分の目を肥やし、正確な情報が提供できる人間になることがお客様から信頼されるポイントです。

 

不動産独立時には不動産のなんでも屋になる

私の場合、本記事に記載してきたようなステップアップ過程を経て、現在独立することができました。もちろん、私が経験してきたことは不動産のすべての事柄ではありません。

もし皆様が、不動産に就職・転職し、最終的なキャリアを売買営業や新築販売などを目指すのであれば、近道をせず上記のことを一つ一つ身につけて行くことが大事です。

また会社にもよりますが、不動産営業はお客様にとって基本的になんでも屋です。
物件のことはもちろんですが、法律のこと、ローンや税金のこと、地域や学校区のことなどなんでも知っていて当たり前という前提で商談をしてきます。

ステップアップの過程はありますが、不動産に身を置くのであれば、一生勉強しなければいけないということを知っておいてください。

皆様の不動産のキャリアアップに少しでも役立つと幸いです。


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