不動産業界に携わる方の中で、将来起業したいと考えている方は多いのではないでしょうか? しかし、いざ起業をしようと思っても、 「まず何から始めればいいのか分からない」 「リスクが高そうで不安」 などとなかなか足を踏み出せない方もいらっしゃるかと思います。 また、不動産業で起業している人はどれくらい儲かっているのか目を光らせている方もいらっしゃることでしょう。 この記事では、不動産業界で起業した人の数や起業するメリット・デメリット、起業して失敗する人の特徴、また、実際どのくらい儲かっているのかなどをご紹介していきますので、ぜひ最後まで目を通していただけると幸いです。 不動産業界で起業する人はどれくらいいるのか? 不動産業界で起業する人は年々増加しています。 あとでご紹介いたしますが、不動産業界は業種次第では初期コストもかからず、起業しやすいのです。 実際に全国で不動産業界で起業する人はどれくらいいるのでしょうか? 過去20年間の宅地建物取引業者の推移を見てみましょう。 参照:国土交通省 宅地建物取引業者数 5年連続で増加~平成30年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について~ 参考資料 不動産業界で起業するメリット(仲介業・賃貸業) それでは、不動産業界で起業するメリットについて、代表的な不動産仲介業と不動産賃貸業の2つをそれぞれご紹介できればと思います。 業種によってメリットやデメリットが異なるので、どちらの業種が自分に合うのかなどをあらかじめ考慮した上で、起業をすることをおすすめいたします。 不動産仲介業のメリット まずは不動産仲介のメリットを3つご紹介いたします。 仕入れ費用ががかからない 1つ目は、仕入れ費用がかからないという点です。 不動産仲介業を行うためには、宅地建物取引業者の免許を取得する際にお金はかかりますが、それ以外はほとんどかかることはありません。 なぜなら、不動産仲介は売主と買主の間に入って不動産売買をするための交渉を行うビジネスであり、仕入れに対する費用が必要ないないからです。 人件費がかからない 2つ目は、人件費がかからないという点です。 そもそも不動産会社は1人であっても不動産会社を経営していくことが可能です。 仮に人手が少なくても十分に業務を行えるからです。 しかし、売り手や買い手を探すことから契約までの一貫の業務を自分1人で動いて行わなければならないというデメリットも持ち合わせます。 自分がそこまで動けないという場合には人を雇う必要がありますが、基本的には人件費は他の業種に比べるとかなり削減できます。 1回の契約で得られる金額が大きい 3つ目は、1回の契約で得られる金額が大きいという点です。 売買仲介業の場合、賃貸業に比べて物件の単価が大きいので、その分仲介手数料の金額も高くなります。 例えば、5,000万円の物件が売れた場合、仲介的手数料は(5,000万×3%+6万円)×1.1(消費税10%)=1,716,000円である。 首都圏の物件の場合、大体これくらいが平均的である。 1回の契約で得られる金額が大きいため、短期で大きく稼げる可能性が高いのは、仲介業の1番の魅力といってもいいでしょう。 不動産仲介業のデメリット 逆にデメリットとして、売買契約ができないと仲介手数料も0なので、収入が入ってこない場合が考えられます。 ある意味、一攫千金のようなものではありますが、月に1契約できればそれだけでも利益は大きいので、コンスタントに契約ができるようにすれば、儲けることができます。 不動産賃貸業のメリット 次に不動産賃貸業のメリットを3つ紹介いたします。 賃貸業はアパートの大家さんやマンションのオーナーさんなどのように、不動産を買ってそれを貸し出すことによって収益を得ることを言います。 賃貸業を起業するということは、個人ではなく法人を立ち上げて行うイメージです。 安定的な収入が入ってくる 1つ目は、安定的な収入が入ってくるという点です。 これは賃貸業の醍醐味でもある入居者から受け取る家賃収入、すなわち不労所得です。 所有している物件に入居者がいる限り、毎月安定的な収入が期待できます。 また、仲介業と違い、利益が少なく、かつ高い物件を自ら購入するのに多額の借り入れをする必要があるので、そこはあらかじめ覚悟はしておきましょう。 免許や資格がなくてもできる 2つ目は、免許や資格がなくてもできるという点です。 賃貸物件の仲介を行う場合は宅建業者の免許が必要となり、その中で宅建士の資格取得者が必要になります。 しかし、不動産会社が所有している物件を賃貸として貸す「賃貸業」や、家賃の回収などの集金に関する業務やクレーム対応、修理の手配や退去後のリフォームなどの業務などを行う「賃貸管理業」においては宅建の免許がなくてもできます。 なぜならば、これらは不動産業であり、宅建業ではないからです。 資格を持っておらず、不動産業界で起業を考えている方は賃貸業を行うことをおすすめいたします。 リスク管理がしやすい 3つ目は、リスク管理がしやすいという点です。 リスクのあるイメージのある「起業」でも、賃貸業に関しては労働者として働きながら同時並行で始めることができるという大きなメリットがあります。 起業の方で上手く収益を上げられれば退職するという選択肢もあれば、上手くいかない場合にそのまま会社員を続けながら挑戦できるので、生活ができなくなったり、せっかく起業したのにそれを辞めざるを得ない事態を免れることができます。 不動産業界で起業したら実際いくら儲かる? ここからは、不動産業界で起業した場合、実際にいくら儲かるのかについて、資本金別、会社の規模別で見ていきましょう。 実際に起業した不動産会社の社長の年収もご紹介いたします。 資本金別の売上・年収はどれくらい? まずは、資本金別の平成30年度(最新)の売上高を公益財団法人不動産推進センターの「不動産業統計集」に基づいて紹介し、そこから大体の年収を算出したいと思います。 資本金別に分けると下記のような結果でした。 資本金 売上高 1,000万円未満 約909万円 1,000万円~1億円未満 約1,636万円 1億円~10億円未満 約861万円 参照:公益財団法人不動産推進センター(5)②不動産業の資本金別売上高 次に、年収を算出するためにここから毎月のランニングコストを差し引いて行きます。 ・事務所の賃料:約20万円 ・光熱費、通信費、リース料:約20万円 ・人件費:約16万円(例:時給1,000円、1日7時間の22日勤務と考えた場合) ・広告宣伝費:約50万円(初年度) ・生活費:100~200万円 合計すると多くて約300万円です。 これを売上高から差し引いて約600万〜1,300万円といった額が想定年収になります。 会社の規模別による社長の年収は? 次に、会社の規模別による社長の年収を、民間調査機関の労務行政研究所の最新調査「2021年役員報酬・賞与等の最新実態」のデータに基づいて紹介したいと思います。 会社規模別に分けると下記のような結果でした。 ・規模1,000人以上で年収6,771万円 ・規模300〜999人で年収4,410万円 ・規模300人未満で年収3,295万円 参照:労務行政研究所の最新調査「2021年役員報酬・賞与等の最新実態」 こう見ると、従業員が多ければ多いほど、年収も多くなっていることが分かります。 1人で始めることができるのが不動産のメリットではありますが、より儲かるようにするならば、最終的には人員をどれだけ増やせるかどうかがカギになってきます。 実際にどれくらい儲かる?不動産会社社長の年収例 実際にどれくらい儲かるのか気になりますよね。 ここで、不動産会社の社長の年収ランキングTOP3を紹介いたします。 1位:オープンハウス 荒井正昭社長 3億9,600万円(2021年9月期) 2位:ヨシコン 吉田立志社長 2億4,462万円(2022年3月期) 3位:三井不動産 菰田正信社長 2億4,400万円(2022年3月期) 参照:IRバンク 日本の資産家ランキングでも上位を占める社長が不動産業界では多いです。 夢がありますよね。 不動産業界で起業して失敗する人の特徴とは 不動産業界で起業して失敗する人の特徴を2つ紹介いたします。 不動産業の2020年の倒産件数は251件で、前年同数でした。 また、2019年までは3年連続で前年を下回っていました。 参照:株式会社東京商工リサーチ「2020年1-12月 不動産業の倒産状況」 全体的には減ってきてはいるものの、現に倒産している会社は存在します。 ただ、失敗を恐れて挑戦しないのはもったいないです。 起業する前に失敗する人はどんな人なのかをしっかりと把握しておくことが、成功するためには大事なので、起業にこれから挑戦したいと考えている方は必見です。 営業力が身についていない 1つ目は、営業力が身についていない場合です。 これは主に仲介業に当てはまるのですが、営業力が欠けているのは致命的です。 不動産業で起業する人は、基本的に会社員時代に営業成績が良かった方に多いです。 持ち前の営業力を活かし、自分ならできると過信して、失敗するケースは少なくありません。 特に大手の不動産会社出身の方ほど会社の肩書きに頼ってしまっているケースがあるため、いざ自分1人で外に出たら真の実力が問われ、想像以上に苦戦してしまうということになりかねません。 まず始めは会社員として、経験を積み、営業力をしっかりつけてから起業する方が失敗する可能性は低いと考えられます。 業務の量の多さを想定できていない 2つ目は、業務の量の多さを想定できていない場合です。 不動産会社で働いている方は業務の内容や流れ、それに費やす時間などを把握されている方は多いかと思います。 しかし、それを考慮した上で起業したとしても、「売り上げをどう上げるか」の前に、あまりにも多い業務の量に圧倒されてしまう場合も少なくありません。 会社員時代は分担制でやっていたため、全ての業務をやるための時間や量を想定できていない状態で起業すると、上手くいかなくなってしまうのです。 そうならないようにするために、独立前に会社員として業務をまずは自分でやってみて、しっかり把握し、自分でできる業務と人に依頼する業務の区別ができるようにしておくことが重要です。 併せて読みたい:不動産セールスが不動産業界で起業するまでのステップとは 不動産業界でこれから起業する方へ 不動産業界で起業をすることは比較的リスクが少なく、実際に儲かるケースも多いので、ほかの業界に比べると挑戦しやすいかと思います。 しかし、起業して失敗しないようにするために、ある程度準備が必要です。 その準備を怠ると、いつか潰れたり、辞めざるを得ないタイミングが訪れる可能性もあるので、まずは不動産会社で仕事をすることをおすすめいたします。 きっと独立したときには、何か形にできると思います。 不動産業界特化型転職エージェントに登録する